日立金属は、航空機・エネルギー材料事業の強化を目的とし、三菱マテリアルの完全子会社であるMMCスーパーアロイの株式を51%取得し、子会社化すると発表した。取引実行後は、名称を「日立金属MMCスーパーアロイ」に変更予定。なお、三菱マテリアルは本件取引後もMMCスーパーアロイの発行済株式の49%を保有する株主として残ることとなっており、日立金属および三菱マテリアルが一体となってMMCスーパーアロイを運営していく予定。
日立金属は、材料開発をベースとした高機能材料メーカーとして、自動車・エレクトロニクス・産業インフラの各分野で、グローバルに事業を展開している。その中で特殊鋼事業は、日立金属の中核を成す事業であり、伝統に培われた「ヤスキハガネ」ブランドに代表される、純度の高い鋼を生み出す製鋼技術と、時代のニーズに応える材料技術・材料開発力で、さまざまな産業の根幹を支える高機能材料を提供している。
その技術は航空機・エネルギー分野へと裾野を拡げており、同社では当分野での中長期的成長をめざしている。この実現の一環として、平成23年に日本エアロフォージ(岡山県倉敷市)に出資し、油圧式では世界最大級の5万トンとなる最先端の型打鍛造プレスへの投資に参画し、その取り組みを進めている。
一方、三菱マテリアルは、旧桶川製作所において、昭和19年以来70年間にわたり、ニッケル合金など、世界でもユニークな非鉄金属加工技術の開発を行っている。平成22 年には、機動的な事業運営を行うことを目的にMMCスーパーアロイとして分社独立、半世紀を超えて培ってきた高度な品質・技術・開発力を継承し、航空機・産業用ガスタービン・自動車産業等の基幹産業向けに、特殊耐熱合金・耐蝕合金、特殊銅合金などの高機能製品を提供している。
日立金属は特殊鋼の強固な経営基盤の上に、MMCスーパーアロイが有する航空機部材の豊富な実績および技術力を併せ持つことにより、今後世界的に発展が見込まれる航空機・エネルギー分野の市場においてグローバル競争を勝ち抜き、中長期的成長を見込む。