日本粉末冶金工業会( http://www.jpma.gr.jp/ )はこのほど、「平成25年度日本粉末冶金工業会賞」を発表した。同賞は、1979年度に粉末冶金工業普及事業の一環として創設、2013年度で35回目となる。
同賞は、工業会事業に貢献した個人を表彰する「業界功労賞」と優れた粉末冶金製品を表彰する「新製品賞」、優れた原料粉末を表彰する「原料賞」、優れた製造設備を表彰する「設備開発賞」からなる。「新製品賞」は、さらに「デザイン部門」、「材質部門」、「製法開発部門」に分けて審査、2003年度から、選考委員会で特に優れた受賞案件とされたものに「工業会大賞」を授与している。また、賞の対象にならなかった応募の中から、特徴のあるものを「奨励賞」として表彰している。
今回は新製品賞・デザイン部門、新製品賞・材質部門、新製品賞・製法開発部門、奨励賞から受賞企業が選出された。受賞一覧は以下のとおり。
新製品賞・デザイン部門
「小型二輪車のアイドリング制御機構モータ用焼結含油軸受」ダイヤメット
挟み込み固定に対応できる強度、摺動性、保油性を有する材料の開発が評価された。また、大量生産での高精度化を可能にしたサイジングでの工夫と量産実績が評価された。
「電動パワーステアリング用モータ継ぎ手の開発」ダイヤメット
焼結の特徴を活かした型出しおよび軽量化の技術および高強度化が評価された。また、鍛造から焼結への切替えに成功し、焼結部材の優位性を示したことが評価された。
「二輪車用薄肉軽量ピストンの量産化」ファインシンター
薄肉部および凹凸部を有する複雑形状の型出しを可能にしたデザインおよび成形方法の工夫が評価された。また、減衰力特性の安定化などの二輪車の性能向上に貢献した点が評価された。
「HEV・EV車に使用されるバッテリー冷却ファンモータ用軸受の開発」ポーライト
成形および組立方法の工夫と、同軸度精度1μmの高精度を実現したことが評価された。また、今後の拡販が期待できるHEV、EV分野でボールベアリングから焼結含油軸受へ切替えたことが評価された。
「静粛な環境での使用に好適な電動オイルポンプロータ」ダイヤメット
静粛環境に対応した新歯形の新規性、内外ロータの歯間隙間に着目した歯形設計の独自性が評価された。また、HEV車やアイドルストップ機構に搭載され、今後の伸張が期待されることが評価された。
「PHEV用トランスミッションのパーキング部品の開発」住友電気工業
内径にテーパを有する全長50mmの長尺品を型出しした点が評価された。また、PHEV用に開発されたトランスミッションに搭載され、今後の伸張が期待されることが評価された。
新製品賞・材質部門
「可変バルブタイミング装置用焼結製オイルシールの開発」NTN特殊合金
可変バルブタイミング装置のオイルシール部品を樹脂製から焼結製に切換えた点が評価された。また、寸法精度の向上とコストパフォーマンスが評価された。
新製品賞・製法開発部門
「車載用リアクトル低コスト純鉄系圧粉コアの開発」住友電気工業
純鉄微粉の使用や成形方法の工夫によるコストダウンが評価された。また、ハイブリット車モータ駆動システムの昇圧コンバータに搭載されるリアクトル用コアを積層鋼板から圧粉へ切替えた点が評価された。
「操作フィーリング向上に寄与する高精度クラッチハブの量産化」住友電気工業
金型製造工程を見直すことにより、ピニオン、リングギヤ共に歯筋誤差で3級相当、歯形誤差で2級相当の高精度を実現したことが評価された。
奨励賞
「超薄型ファンモータ用焼結動圧軸受」NTN特殊合金
焼結動圧軸受における動圧溝の仕様、および、動圧溝の加工方法を最適化し、ファンモータの薄型化に貢献した点が評価された。また、販売実績の高さが評価された。
「アイドリングストップ用高強度・高精度スタータプラネタリギヤの開発」日立化成 粉末冶金事業部
高強度と高精度化を両立している点が評価された。また、アイドリングストップシステムに搭載され、今後の伸張が期待されることが評価された。