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パナソニック、排熱から電気をつくる「熱発電チューブ」の発電検証を開始

 パナソニックは、京都市のごみ処理施設である東北部クリーンセンターの排熱を利用した「熱発電チューブ」の発電検証試験を開始する。この試験はNEDOの委託事業「省エネルギー革新技術開発事業」の一環。

 熱発電チューブは、熱が伝わりにくい熱電変換材料と、熱が伝わりやすい金属を交互に傾斜して積層した構造により、熱の流れと垂直な方向に電気が流れる現象を利用し、チューブ状に加工した傾斜積層構造体の中にお湯を流す等により、チューブの内側と外側とで温度差をつくり発電するもの。

構成図とクリーンセンター

 この事業では、従来利用されずに捨てられていた低温排熱を有効活用するために、熱発電素子として、これまで主に研究されてきたπ型の素子構造ではなく、熱電変換材料と金属の傾斜積層構造を採用し熱流と垂直の方向に電流を取り出すことで、シンプルでコンパクトな構成の熱発電ユニットを作製し、工場の温排水などの低温熱源を利便性良く電気に変換することを可能とした。この熱発電ユニットの開発により、エネルギー・ハーベスティングの実現とともに、低温排熱の有効活用の実現による省エネルギーの推進を目指す。

 検証内容は、ごみ焼却で発生した有効活用できていない低温排熱の一部を温水にして熱発電チューブ内に流し込み、施設内で使用している冷却水をチューブの外側に流すことで、チューブの内外に温度差を生じさせ発電の検証試験を行う。パナソニックは発電検証用の熱発電ユニットを試作し、クリーンセンターに設置する。この検証試験で得られたデータから、本事業で目標とする熱発電チューブの発電能力の検証を行う。また京都市は、クリーンセンターを検証試験の実施場所としてその排熱を供給するとともに、クリーンセンターの熱収支データの提供や、検証試験のための工事監理を行う予定。

 こうした構成で試験を実施することにより、季節や天候に左右されることのない、24時間継続した発電試験を行い、熱発電チューブの発電能力を検証することができるという。平成25年度末まで検証試験を実施し、本事業で開発した熱発電ユニットの発電性能の検証を行う。具体的には、ごみ焼却で発生する熱のうち、利用できていない低温域の熱で作り出した温水と施設内の冷却水を用い、400W/m3以上の発電量を得ることを目標としている。