ホンダは、スチールとアルミを結合する技術を新たに開発し、従来スチール製だったドアのアウターパネル部分にアルミを採用した。この技術を米国で2013年3月に発売する北米仕様のアキュラ新型「RLX」に採用し、順次拡大を目指す。
スチールとアルミという異種金属を結合するには、異材を結合する技術だけでなく、錆(電食)防止や膨張率の違いによる熱変形を防止する技術を同時に確立する必要があるという。今回同社は、三つの技術を新開発し、ドアパネルの一部にアルミの採用を可能とした。
異材結合技術として、スチールパネルとアルミパネルを重ね合わせて2段階に曲げる「3Dロックシーム」構造を採用(図1)した。また、電食防止技術として、インナーパネルに高防食性鋼板を適用するとともに、接着剤を確実に充填可能な形状に変更(図2)した。熱変形抑制技術としては、低弾性接着剤の適用と3Dロックシームの位置を最適化を行った。
従来技術(左)と新開発の3Dロックシーム(右)
ドアパネルの構造
この技術は従来のスチール製のドアパネル接合の際に行われているスポット溶接の工数が削減されるだけでなく、結合のための専用工程を増やすことなく既存の生産ラインのまま対応が可能というメリットもある。これにより、従来のスチール製ドアパネルに対し約17%の軽量化を達成し、燃費や動力性能の向上に寄与するとともに、車体外側が軽くなり重心が車体中心に集中することによって操縦安定性の向上にもつながった。
同社は昨年、摩擦かく拌接合(FSW)によるスチールとアルミのハイブリッド構造のフロントサブフレームの量産化を北米仕様の新型「アコード」より開始しており、車両軽量化へのさまざまな取り組みを進めている。