2013年2月11日(月曜日)
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物質・材料研究機構と奈良先端科学技術大学院大学は、次世代材料である単層カーボンナノチューブにポリマー(分子の重合体)が巻き付く過程をリアルタイムで解析することに世界で初めて成功した。
カーボンナノチューブは、有機材料を使うソフトエレクトロニクスや、化学センサー・燃料電池など、環境に優しいグリーン・ライフサイエンス分野での様々な用途が期待されている。しかし、水や有機溶媒に極めて溶けにくいことがカーボンナノチューブの基礎研究や実用化の際にボトルネックとなっていた。その有力な解決手法として、ポリマーに包んで溶かす「ポリマーラッピング」が盛んに研究されているが、ポリマーがカーボンナノチューブの周りにどのような機序で巻き付くか、その結果、どのようにナノチューブが可溶化していくかをリアルタイムで観測することはできなかった。
本研究では、タンパク質やDNAなどの生体分子の瞬時の動的な構造変化を解析する手法の一つである「ストップトフロー法」を採用し、カーボンナノチューブの動的なポリマーラッピング挙動の解析に初めて成功した。研究成果は、溶媒に溶かすことが困難であったカーボンナノチューブをポリマーに包んで可溶化するという量産化、実用化に向けたカギとなる技術でありながら従来未解明だったメカニズムを明らかにするもので、新たな可溶化剤の開発など効率的な生産に結びつくと期待される。