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産総研、ガスクロミック方式の調光ミラーシートを開発

 産業技術総合研究所は、新しい切り替え(スイッチング)方式による調光ミラーシートを開発した。

 調光ミラーは透明な状態と鏡の状態をスイッチングでき、これを窓ガラスに用いると太陽光を効果的に遮って冷房負荷を大きく低減する省エネルギー型ガラスが実現できる。今回、開発した調光ミラーシートは、従来とは全く異なるガスクロミック方式でスイッチングを行う。従来のエレクトロクロミック方式の調光ガラスと比べて約20倍の高速なスイッチング速度で、可視から近赤外領域の光の反射を制御できる。これまでガスクロミック調光ミラーを実用化するための課題とされていた点が、今回の開発でほぼ解決できる。また、調光を行う薄膜の膜厚が10分の1程度であることから、製造コストの大幅な低減が期待できる。

 今後、繰り返しスイッチングを行った場合の耐久性の評価を行う予定である。また、今回の開発により、これまではガスクロミック方式の調光ガラスは適用することができないとされていた分野、特に自動車や列車、飛行機のような小型の窓ガラスにも応用できるようになった。可視光透過率を70%以上に向上させて、最も遮熱効果の大きい自動車のフロントガラスへの応用も目指す。また、大型シートへの成膜に関する研究を企業などと共同で進め、建物用の大型窓ガラスへの早い段階での応用を目指す。

新方式の調光ミラーシートのスイッチングの様子(37cm×26cm)新方式の調光ミラーシートのスイッチングの様子(37cm×26cm)