産業技術総合研究所とユニチカは共同で、ポリイミドとシリカからなる柔軟で耐熱性の高いナノコンポジット多孔体を製造する技術を開発した。
この技術は、ポリイミドの原料となる前駆体(ポリアミック酸)と、シリカの原料となるシリコンアルコキシドの混合物の溶液に、高圧二酸化炭素(CO2)を溶解させた後、減圧することにより空孔を形成させるものである。これにより、数十nmの微細孔をもち空隙率の高いナノコンポジット多孔体を製造できる。この多孔体材料は、耐熱性、柔軟性、耐薬品性、機械的強度に優れている。従来の高分子(ポリマー)系材料が使用できない数百℃の温度領域で使用できる断熱材料や低誘電率材料などの用途が想定され、熱エネルギーの有効利用、省エネルギーへの貢献、電子材料の特性向上などが期待される。
現在、断熱性能の評価を進めており、今後は高い空隙率を維持したままで微細孔の割合を増すことにより、さらなる強度の増大、断熱性能の向上に取り組む。また電子材料、断熱材料としての性能評価を行い、5年以内の実用化に向けた量産技術の開発を進める予定である。
今回開発したポリイミド=シリカナノコンポジット多孔体の微細構造