島津製作所は、誘電泳動現象と回折光を利用するナノ粒子径の新しい測定原理IG法(Induced Grating Method)を採用したシングルナノ粒子径測定装置「IG-1000 Plus」の販売を開始した。
従来の動的光散乱法では、粒子径が100nm以下になると粒子からの散乱光が急激に減少する。さらにシングルナノ領域(粒子径が10nm以下)では、散乱光の検出が困難となる物理的制約が存在し、粒子径の測定も難しい状況になるという。IG法は散乱光を使用しないため、この物理的制約から解放され、また、測定条件として屈折率を入力する必要がないため、ナノ粒子を高感度に、かつ容易に測定することができる。特にシングルナノ粒子の測定に適しているという。
主な特徴は以下のとおり。
- 粒子から発する散乱光ではなく、粒子で構成される回折格子からの光信号を測定に用いるため、シングルナノ領域でも十分なS/N比が得られ、安定で再現性の良い測定が可能になる
- 新しい測定原理は、コンタミネーションの混入に強いため、たとえ微量の異物粒子が混入しても、測定すべきナノ粒子の情報を確実にキャッチする。したがって粗大粒子を取り除くためのサンプルのフィルタ処理などは不要
- 新しい測定原理は、高い再現性と安定したデータの取得を可能にした。特に10nm以下での高い再現性は、シングルナノ領域での粒子径測定における不安・あいまいさを解消する。また回折光の生データを比較可能なため、測定結果の大まかな妥当性評価が簡単に行える。