新日本製鐵は、難成形部品への超高張力鋼板(ハイテン)の適用を可能とする同社開発の新プレス工法「NSafe-FORM-LT」がスズキ「ワゴンR」のフロントピラーに採用されたと発表した。これにより、難成形部品であるフロントピラーへの強度980MPa級ハイテンが実現、軽自動車では世界初だという。
これまで、強度980MPa級以上の超ハイテンは、強度と相反する成形性能の制約から適用できる部品は単純で成形しやすい形状のものに限定されており、適用部品の拡大のためには、複雑な形状の加工が可能な新たな工法の開発が課題となっている。
同社はこれら課題に対して、フロントピラーやセンターピラーの特徴であるL字・T字形状の部品の加工に適した新プレス工法を開発した。
L字やT字形状の部品成形では割れやしわが発生し易いため、材料に高い延び特性が必要となり、従来これらの部品には強度590MPa級の適用が限界だったという。
同工法は、専用金型を用いた新しい成形法。シミュレーション技術により金型内での鋼材の挙動を解析、鋼材のブランクの形や変形の仕方を変えることで割れやしわの発生を回避し、強度980MPa級ハイテンでの複雑形状の成形を可能にした。また、同工法は従来の絞り成形法に比べ、材料歩留まりが高く省資源化・部品コスト低減にも寄与する。スズキは同工法をフロントピラーだけではなく、センターピラーにも採用している。