ニチダイとNTTデータエンジニアリングシステムズ(NDES)は2012年7月25 日、「精密鍛造金型設計ナビゲーションシステム」の構築に取り組んでいくことに基本合意した。
同システムは、半世紀以上に渡って精密鍛造部品およびその金型を開発してきたニチダイが保有する、高度なネットシェイプ鍛造および金型製造技術と、NDESが販売・サポートを行うメタルフォーミングプロセスシミュレーションシステム「simufact.forming」および30年に渡って培われたCAE利用技術の融合により実現するもの。最先端の鍛造工程設計、金型設計におけるCAE の利用技術(ノウハウ)を標準化して盛り込んだ同システムは、グローバル化が加速する鍛造業界における熟練者の技術伝承をデジタル化し、海外拠点での鍛造技術を用いた素形材づくりの実現と、人材育成に貢献することを目的としている。
塑性加工の現場では、被加工材の成形不良、金型・工具の早期の破損などで、製品や型の開発コスト増大の問題を常に抱えている。このような問題に対して従来は、塑性加工技術の熟練者の勘と経験に基づいて解決方法を模索するケースが一般的だった。しかし近年は「ネットシェイプ」が盛んに叫ばれるようになったことに伴い、金型の構造の多様化や複雑化を招き、熟練者の経験のみでは解決が難しい事例も多々発生している。
塑性加工の現場では、こうした諸問題を工程設計の初期段階で解決し、さらにコスト削減や製品・金型品質向上を図る手段として、CAEが一般的に活用されており、いまやその利用は不可欠な存在になっている。しかしその一方で、CAEをただ利用するだけでは、これらを解決へと導くことが困難であることも明らかになっている。計算結果を評価するためには、正確度の高い計算を行う技術と、計算結果として出力される膨大なデータから必要な情報を抽出する技術が必須。そのためには確固たる根拠に基づいた技術的背景の理解も不可欠である。
NDESが提供しているCAEソフトウェア「simufact.forming」は、近年のグラフィカルユーザインターフェイスのユーザビリティの向上にともない、特別な知識を必要とすることなく使うことができるものへと進化している。このことにより、誰もが簡単に計算結果を得られるようになったが、それを評価する技術が確立していないことから、CAEの本来の目的である、開発コスト削減や製品・金型品質向上へは充分には至っていないのが現状。
このような背景のもと、塑性加工業界で実績をもつニチダイと日本の生産現場における豊富な経験とノウハウをベースとして、さまざまなIT ソリューションを提供してきたNDESが、このたびパートナーシップを結ぶこととなった。