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産総研、フェムト秒レーザーによる酸化グラフェンの非熱的還元を提案

 産業技術総合研究所( http://www.aist.go.jp )は、シミュレーションに基づいて、パルス幅2フェムト秒(fs)程度のレーザー照射により、酸化グラフェンを還元してグラフェンを製造する方法を提案した。

 時間依存第一原理計算により、フェムト秒レーザーを照射した後の酸化グラフェンの構造変化をシミュレーションすることにより、効率良く酸化グラフェンを還元してグラフェンを作製するのに適したレーザーの波形を見出した。

 この還元方法は、化学物質を用いたり、高温で処理したりしない方法で、パルス幅の広い(~200 fs)フェムト秒レーザーによる還元よりも、還元反応に伴う発熱を抑制できるため、グラフェンに欠陥が発生するリスクが少ない。したがって、この還元方法を応用すれば酸化グラフェンの印刷塗布によるグラフェン電極製造技術への貢献が期待される。

 今後は、電子のダイナミクスを計算する際に便宜上導入した周期境界条件の及ぼす影響のさらなる検証、酸化グラフェンのレーザー照射前の温度条件を統計的に取り込むなどの計算上の技術的問題から発生する計算精度の問題を解決することで、レーザー波形だけでなく、還元を行うために必要最小限度のレーザー強度の予測精度向上を目指す。グラフェンの生成時に酸化以外の原因による不純物除去の方法へと研究を拡大することで、グラフェン生成、精製のプロセスの精密設計が可能となり、実用化につながると期待されている。

レーザー照射により酸化グラフェンから酸素が除かれるシミュレーションの結果レーザー照射により酸化グラフェンから酸素が除かれるシミュレーションの結果

 なお、本成果の詳細は2月15~17日に東京ビッグサイトで開催されるnano tech 2012第11回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議にて発表する。