産業技術総合研究所( http://www.aist.go.jp )は、生体に見られるような精緻なマイクロスケールからナノスケールに至る階層構造をもつナノシステム材料を制御しながら作製する技術を開発した。
マイクロ-サブマイクロ-ナノ階層構造の例(酸化銅(CuO)による3重階層構造)
特定サイズの球状粒子を規則的に配列させた単層コロイド結晶薄膜を多重積層した構造をテンプレートとして用いると、写真に示すような階層構造をもつ薄膜が得られる。この構造ではマイクロサイズの構造単位が凹凸をもった規則構造を形成し、その中にサブマイクロサイズの規則構造が埋め込まれ、さらにこのサブマイクロサイズの規則構造の中に微細なナノ構造が形成されている。
これまで産総研で取り組んできた物理的な手法によるナノ構造作製技術を利用することにより、このような多重階層構造がリソグラフィー技術を使わずに、単純な手法の組み合わせで作製できたという。この技術を応用して、これまで作製が困難であった無機物質の多重に階層構造をもったナノシステムを人工的に作製することで、表面のぬれ性制御、多孔質触媒、分離膜、バイオ機能表面など、さまざまな分野への応用展開が期待される。