三菱樹脂( http://www.mpi.co.jp )と米のクオドラントグループの合弁会社であるクオドラント ポリベンコ ジャパンは、微細な形状の切削が求められる半導体検査工程のテストソケット等の用途に、セラミックを変性PEEK樹脂に充填し、高精度と良好な切削加工性を両立させた切削用素材「セミトロン MP370」の本格販売を2012年初頭から開始する。
近年、自動車や携帯電話などに多用されるICチップは、小型化が求められる一方、扱う情報量が増加している。それに伴い、テストソケットのプローブピン数も増加し、ピッチも0.2mm〜0.3mmとさらに微細になっているため、最先端のテストソケット向けに使用される切削用素材には、さらなる高精度な加工が可能でバリが少ないなどの切削性向上が求められている。
このような状況を踏まえクオドラント ポリベンコ ジャパンは、クオドラントグループが米国で開発した「セミトロン MP370」を、アジア地域で高まる顧客のニーズと先行する米国での販売実績を背景に、半導体検査工程のテストソケット向けに輸入販売する。
この切削用素材は、改良した変性PEEK樹脂を主原料に、セラミックが均一に高充填されているため、切削時にバリの発生が少ない上、高精度の切削加工が可能なため、テストソケット上の穴の位置精度が安定する。さらに、変性PEEK樹脂は、吸水率が低く熱膨張も小さいため、ICチップのテスト条件下で寸法安定性も優れている。変性PEEK樹脂はガラス転移点が160℃とPEEK樹脂(同140℃)より高く、通常より条件の厳しい車載ICチップで要求される150℃にも対応しているという。当初販売する素材は、厚み6mm、9mm、12mmの板材を予定しており、すでにサンプリングを開始している。