川崎重工業( http://www.khi.co.jp )は、英ロールス・ロイス社の最新鋭旅客機用エンジン「Trent XWB」の中圧圧縮機(IPC)モジュールの組立を完了し、同社のダービー工場に初出荷したと発表した。
「Trent XWB」は、現在6機種がラインアップされているロールス・ロイス社「Trentシリーズ」の最新モデルで、エアバス社(仏)が開発中の新型旅客機「A350XWB」への搭載が唯一決定している推力75,000から93,000ポンド以上の最新鋭旅客機用エンジン。
川崎重工業は、ロールス・ロイス社の「Trent XWB」開発・生産プログラムに「リスク&レベニュー シェアリング パートナー(RRSP)」方式で参画し、現在同社と共同で開発を進めている。また、同プログラムにおいてIPCモジュールの設計・製造・組立を担当し、2010年3月より部品単位で納入していたが、今回IPCモジュールの部品製造から組立までの工程を完了し、モジュールとして初出荷したもの。川崎重工業がIPCモジュール全体の設計・製造・組立を担当するのは、「Trent 1000」に続き2機種目となる。
IPCモジュールとは、エンジンを構成する8個の主要モジュールの一つで、直径1.5m×長さ1.5m、部品数は約4,000点。IPCモジュールには最新の設計・製造技術を取り入れており、8段のチタン合金製ディスクを電子ビーム溶接によって一体化したドラムに回転羽根(動翼)を取り付けたローター、内側に固定羽根(静翼)を取り付けたケース、フロントベアリング支持構造などで構成されており、ファンから送り込まれた空気を昇圧して高圧圧縮機に送り込む機能を持っている。
川崎重工業が今回出荷したIPCモジュールは、2011年後半に実施予定のフライング・テストベッド試験(飛行状態でのエンジン運転試験)用エンジンに組み込まれる。今後同社では飛行試験エンジン用、量産エンジン用にIPCモジュールの製造を行う計画。