NTN( http://www.ntn.co.jp )は、振動源が超音波ねじり振動子で、転がり軸受などの高強度鋼材のせん断疲労特性を短時間で評価する「超音波ねじり疲労試験機」を開発した。開発は静岡大学の石井名誉教授、工学部機械工学科の島村准教授の技術支援を得て行われた。
同品は、加振速度が20,000Hzと油圧が振動源のねじり疲労試験機の2,000倍。負荷速度の高速化に加え、出力を増幅させて試験片に大きなせん断応力振幅を安定して与えられるように、振幅拡大ホーンと呼ぶ試験片の相互形状をシミュレートして最適化した結果、最大せん断応力振幅は世界最高水準の約950MPaまで高めることができた。これにより、高強度な転がり軸受鋼のせん断疲労特性について、100億回の負荷を従来の32年から、わずか約7日で到達することに成功。短時間での評価が可能となった。
転がり軸受の内部から発生する内部起点型損傷は、転動体と軌道面の接触負荷により、表層下に繰り返し作用するせん断応力によって起きると考えられている。
このため、内部起点型損傷が起きない接触負荷の下限界値を調べるには、超長寿命域(10億回を超える繰返し負荷回数)までのせん断疲労特性を求めることが必要だった。これまで、せん断疲労特性は油圧式のねじり疲労試験によって評価してきたが、油圧式では1秒間に10回(10Hz)程度の負荷速度であり、長寿命域の評価に必要な100億回(1010回)の負荷を与えるには32年間を要し、事実上不可能だったという。
高負荷速度を得るためには超音波を用いるが、引張圧縮モードの試験機は10年以上前から市販されているものの、ねじりモードの試験機については研究自体が世界的にも少なく、超音波を発生させる基幹部品のねじり振動子も低出力のタイプしかなかったという。