産業技術総合研究所(産総研、 http://www.aist.go.jp )は、各種半導体酸化物の多孔質薄膜を作製できる汎用的なマクロポーラス化技術を開発した。この技術は半導体プロセスに適用可能なスピンコート法による一段階プロセスで、これまで困難であったマクロ孔の多層化や連結性の制御が可能となる。
PS系界面活性剤を利用したマクロポーラス薄膜の製造技術 この技術は、ポリスチレン(PS)系界面活性剤が極性溶媒中で球状に集合しやすい性質を利用したもので、界面活性剤の疎水部であるPSユニットを内側、親水部[例えばポリエチレンオキシド(PEO)]ユニットを外側にしたコアシェル構造の球状体が形成される。この極性溶媒中に各種半導体酸化物の前駆体である金属オキソ種が存在していると、成膜する過程で溶媒が揮発するのに伴い球状集合体が隣接するようになり、溶解している酸化物の前駆体は親水部ユニットと相互作用してシェル付近に集まる。この薄膜を焼結して界面活性剤を除去するとマクロポーラス半導体酸化物薄膜が得られる。この技術により半導体酸化物の電気的特性とマクロ空間を同時に利用した新たなデバイスの開発が期待される。