医療機器センター( http://www.jaame.or.jp )附属医療機器産業研究所( http://www.jaame.or.jp/mdsi/mdsi.html )は、「日本の医療機器市場の長期動向」に関する考察を記したリサーチペーパーを発表した。これは、過去の医療機器産業に関する長期動向の大局的な傾向や中分類間の特質差を把握することを主な目的とし、薬事工業生産動態統計の1984年から2008年の25年間のデータを用いた分析とともに競争力に関する考察を行なったもの。
わが国の医療機器の市場規模は1984年時点において9,500億円であったが、2008年現在においては2兆2,200億円の市場規模にまで成長している。過去25年間で医療機器市場は2倍以上となったが、輸入金額は約5倍程度となり、国内企業よりも海外企業の医療機器が市場に台頭した時代であった。
本リサーチペーパーでは、医療機器産業に関する長期動向の大局的な傾向や中分類間の特質差を分析した結果、①医療機器市場の成長要因②日本の競争力が失われた原因③医療パラダイムと医療機器市場④低リスク医療機器の競争力⑤医療機器産業の参入余地-の5点を明らかにした。
医療機器産業の参入については、医療機器は多種多様であり、市場規模が10億円未満となる品目が6割を超えることや成長率が高い品目が多いことから、新規参入の余地が多くある産業であることが確認された。
また、医療機器市場の成長要因においては、国内企業がグローバル化することや医療機器周辺・関連産業、医療サービス産業、医療生活産業などの育成を国策として行うことが急務であると指摘した。
医療機器産業を国策として考える場合、従来の厚生労働省、経済産業省といった直接関係する行政機関のみならず、外務省などの行政機関や政治などの幅広いステークホルダーの参加が必要。特にアジア地域との関係強化が日本の今後の課題として認識されてきているが、アジア地域に対する競争力を強化するには、個々の企業の技術レベルの努力だけでは達成できない面も多々あることが予想されるため、国をあげての産業政策強化を実現することが重要であると確認された。