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経産省、産業構造ビジョン2010を策定

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 経済産業省( http://www.meti.go.jp )は、産業構造審議会の下に新たに設置した産業競争力部会(部会長:伊藤元重 東京大学教授)で、今日の日本の産業の行き詰まりや深刻さを踏まえ、今後わが国がどう国富を稼ぎ、雇用を増やすかについて議論し、このほど最終報告書(産業構造ビジョン2010)を取りまとめた。

 経済産業省では、昨年12月30日に閣議決定された新成長戦略(基本方針)を踏まえ、今後わが国産業のあるべき姿と政策の方向性を示す「産業構造ビジョン2010」を策定するため、産業構造審議会に産業競争力部会を設置した。本年2月25日に第1回部会を開催、以降6月1日まで全6回にわたり審議を行ってきた。

 今回の報告書では、わが国産業を巡る現場と課題を徹底的に分析、世界の主要プレイヤーと市場の変化に遅れた日本産業の厳しい行き詰まりを直視した上で、日本経済を再び成長の軌道に乗せるためには「国を挙げて産業のグローバル競争力強化に乗り出す」ことが必要で、そのためには政府・民間を通じた「四つの転換」が必要不可欠であると指摘、以下の四つを提言している。

(1)産業構造の転換:自動車のみの一本足打法から、「インフラ関連/システム輸出」、「文化産業」、「環境・エネルギー課題解決産業」、「医療・介護・健康・子育てサービス」、 「(ロボット、宇宙などの)先端分野」といった、外的なショックにも柔軟に対応できる多極的な構造(八ヶ岳構造)へと中長期的に産業構造を変革させる。

(2)企業のビジネスモデルの転換:先端技術の開発力は維持・強化しつつ、知的財産権と標準化を絡めて、「どの基幹技術をブラックボックスにし、どの部分をオープンにして国際標準化を目指すか」、という使い分けを戦略的に進めるといったビジネスモデルの徹底的な洗い直しで、技術でも事業でも勝つ体制を構築する。

(3)「グローバル化」と「国内雇用」の関係に関する発想の転換:企業は、自らの強みを活かしつつ、「どの基幹技術をブラックボックスにし、どの部分をオープンにして国際標準化を目指すか」や、選択と集中などを駆使しグローバル競争時代に競争力と雇用を維持。わが国のビジネスインフラを他国と比べて遜色のない水準で整備することで国内雇用につなげる。

(4)政府の役割の転換:インフラ関連プロジェクトの受注など、政府が相手国の外交・経済政策面も含めた様々なニーズに細やかに対応することなどで、国家間の熾烈な付加価値獲得競争に勝ち抜く。