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『超精密位置決め技術』 大塚二郎 著

 精密工学における加工技術、特に超精密位置決め技術の発展は顕著であり、本書は、科学技術の基礎のレベルダウンが叫ばれる中、意識的に精密工学の基礎を重視しつつ、関連技術者・学生に向けて開設したもの。

 1447年のグーテンベルクの印刷機、1760年代の産業革命におけるウィルキンソンの中ぐり盤の発明によるワットの蒸気機関が、当時の精密機械だった。1957年に旧ソ連がスプートニク人工衛星の打ち上げに成功し、米ソ宇宙開発競争が始まるや米国はロケットの小型化に力を注ぎ、特にICの発展に拍車が掛かった。その技術をリードした中の一つが、本書2章で触れるMoore社の超精密工作機械であり、新たな超精密工学の基礎を確立したと言える。電子時計用の水晶加工などをはじめとする日本の超精密技術の歴史では、1974年に100nm以下を扱う技術をナノテクノロジーと呼ぶことを提唱、「加工」、「位置決め」、「計測」を中心にに取組みが活発化した。

 本書では、広範囲にわたるナノテクノロジーの発展に寄与することが期待される、この超精密位置決め技術について、以下の内容で解説を加えている。

1章:超精密位置決め技術の基礎
2章:超精密位置決め達成法
3章:アッベの原理
4章:変位センサ
5章:構造要素
6章:制御
7章:熱変形対策
8章:振動対策
9章:転がり要素の非線形ばね特性
10章:ボールねじ対リニアモータ

 A5判、178頁。定価2940円(本体価格2800円)。養賢堂発行