NTN( http://www.ntn.co.jp )は、自動車の高度な車両姿勢制御を可能にするために駆動力・制動力、コーナリング力、上下方向力 3方向荷重を検出できるセンサを組み込んだ「多軸荷重センサ内蔵ハブベアリング」を開発した。
自動車には、安全性を高め、運転の容易さを可能にするため、高度な車両制御システムが搭載されている。この制御システムでは、車体に設置された車両における旋回方向の角速度を検出するセンサとABSセンサなどの信号を統合して車両の状態を推定しているが、現在の車体上のセンサでは、車体の姿勢が乱れ始めてから制御を開始するため、応答性が遅いという課題があったという。
同品は、ひずみ素子検出センサをハブベアリングの固定部材である外輪に取り付けることにより、コーナリング力に加え、駆動力・制動力、上下方向力を検出する。
3方向荷重は、この微小な変形を上下左右4箇所のセンサで正確に検出し、その信号を演算することで±5%FS(フルスケール)の精度で算出している。また、本センサには温度センサが内蔵されており、温度の影響を除外可能。なお、荷重による外輪変形を検出しているため、車両が静止した状態でも荷重検出が可能となる。
同品で3方向荷重を検出することにより、タイヤを通じて路面に伝達する力をその方向を含めて検出できるため、路面状態の推定精度が向上し、タイヤの接地能力を十分に発揮するための正確な車両制御が可能になる。また、タイヤ近傍で荷重を検出するため、車体で検出するのに比べて、路面状態変化の早期検出が可能となり、従来はタイヤに荷重が作用した後、応答に0.2秒程度必要と言われていたが、同品では0.05秒程度に短縮、この差は時速100kmで走行した場合で空走距離4.2mに相当する。