EPMA-1720 島津製作所( http://www.shimadzu.co.jp )は、簡単な操作で試料の表面観察から構成元素の定性、定量、マッピングなどの高度な分析を可能にした電子線マイクロアナライザ EPMA-1720シリーズを発売する。
電子線EPMAは細く絞られた電子ビームを試料の表面に照射し、試料から発生する特性X線の波長と強度を検出することで、1μm以下の極めて小さな領域にどのような元素がどれだけ含まれているかを調べる装置。電子ビームを試料表面で走査(スキャニング)することで、試料から発生する二次電子などを画像化したSEM像が得られ、光学顕微鏡画像と合わせて試料の表面観察が行える。マッピングによって各元素の濃度分布を視覚的に把握することができる。
また、EPMAは固体無機材料の微小部解析に広く活用されており、金属、電子材料、ガラス、セラミックスなどの研究開発、品質保証などに欠かすことのできない装置。古い遺構から発掘された金属や隕石の組成分析など、未知の試料に含まれている元素の特定にも活用されている。近年では固体無機材料だけでなく、特定の疾患を持つ生体組織の分析にも使われるなど、生体、高分子等、有機材料の研究への応用も進められている。
さらに、分析目的に応じて詳細に分析条件を設定する必要があり、SEM像の画質調整、フォーカス調整などにも高度な知識と技術を要するため、限られたベテランオペレーターによる操作を必要としていた。同品は、ソフトウェア、ハードウェアのすべてにおいて最新技術を投入し、熟練を要した操作を自動化することによって、専任オペレーターの設置が困難な場合でも簡単に操作を行うことを可能にした。
主な特徴は以下のとおり。
- 簡単分析モードで初心者でも高度な分析が可能に
分析の実行、データ処理、レポート作成までの各操作をスムーズに行える簡単分析モードを搭載した。初心者でも迷うことなく定性分析とマッピング分析が行え、同社EPMAの持つ高感度・高性能・高速という基本性能を存分に発揮した分析が可能。
- 卓越した操作性を実現
本体からツマミやコントロールパネルを排除し、観察・分析操作をすべてパソコンのマウスとキーボードで行うことができるようになった。観察画像の明るさ、コントラスト、フォーカスなどをボタン一つで調整でき、試料・視野の移動などもマウスのドラッグやカーソル操作で簡単に行える。
- 高速・高感度検出器を搭載し、像観察機能を強化
高度な半導体加工技術によって、従来2分割であった反射電子検出器を4分割に増やし、電子を信号に変換する際の応答速度を上げることによって、高速スキャン時にもぶれの少ない鮮明な画像が得られるようになった。またSEM像観察系には新開発のディジタルフィルターを採用し、各スキャニング条件に適したフィルターを自動設定することにより、ノイズのない美しい画質を実現している。
- 業界最高の高いX線取り出し角度
52.5°という業界最高の高いX線取り出し角度を実現。取り出し角度とは試料表面と検出器のなす角度であり、角度が大きいほどX線の吸収と横の広がりの影響が小さいため、より高感度、高分解能な解析が可能。X線の検出が阻害されにくいため、凹凸のある試料の分析も得意とする。
- 高い真空度で高分解能を維持
新開発の電子銃を搭載し、高い真空度を保つことによって高分解能を維持すると同時に、電極の寿命を長くしランニングコストも低下させた。
高感度・高精度・高分解能という同社EPMAが長年培ってきた高い基本性能に、簡単で分かりやすい操作を可能にする数々の新機能を加え、大学、官公庁、電気、自動車、鉄鋼などの市場における更なるシェア拡大を図っていく。
【新製品の概要】
装置寸法 : 幅 1,280×奥行 1,190×高さ 1,700mm
価 格 : 9,700万円~1億1,900万円(税別)
販売計画 : 初年度 25台(国内)