日本精工(NSK、 http://www.jp.nsk.com )は、新日本石油株式会社と共同開発した、高温・高回転な環境での長寿命化を実現する「電装補機軸受用長寿命グリース」で、「2008年度日本トライボロジー学会技術賞」を受賞した。トライボロジー学会は、1956年にトライボロジー(摩擦する表面とその潤滑に関係する科学技術)に関する技術の向上を目的に設立。「技術賞」は、同分野において、独創性、新規性、品質、性能の優秀性が認められ、今後の社会貢献が期待できる新製品・新技術に与えられる。
近年、自動車のオルタネータやカーエアコン等の電装補機は小型・軽量化と高出力を両立するため、高温、高速化が進んでおり、こうした過酷な条件下で使用される電装用軸受には、短時間で金属内部の白色組織が変化する「白色はく離」や焼付きによる寿命低下が懸念されている。
NSKでは、「白色はく離」の発生メカニズムを解明し、グリース技術に強い新日本石油と共同で、材料であるナノカーボン粒子、防錆剤、増ちょう剤※の最適配合により、長寿命グリースを開発した。
従来の10倍以上の耐「白色はく離」性能と2倍以上の耐焼付き性能を実現した本グリースを使用することにより、軸受の寿命が大幅に延長され、電装補機の信頼性向上に貢献することはもとより、廃棄物削減による環境負荷低減にもつながる。
※増ちょう剤;グリースを固体状あるいは半固体状にする役割を担い、グリースの耐熱性などの性能に大きく影響を与える重要な成分。