トヨタ自動車( http://www.toyota.co.jp )とトヨタホームは、家庭向けの「蓄電機能を備えたホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)」の本格開発に着手、2011年にトヨタホームでの実用化を目指す。
現在のHEMS※1関連製品・サービスがエネルギー使用の「表示」とエアコン・照明等の家電製品の制御が主なのに対し、トヨタ自動車とトヨタホームが開発を進めるHEMSは、表示・制御に加え、電力を蓄える蓄電の機能を持たせる点が大きな特徴である。このシステムは、比較的安価でCO2排出量が少ない夜間電力※2を貯めておき昼間に利用したり、太陽光発電を蓄電して使えるようにすることで、電力マネージメントと省エネ意識を喚起、光熱費低減と環境負荷低減が図れる。
今回、開発を進める蓄電機能を備えたHEMSは、蓄電池、電力変換機、制御機で構成する装置本体と表示・操作盤で構成。開発は、トヨタが主体となり、トヨタホームが商品企画面を担当する。また、デンソーが装置本体、ミサワホームが表示関係でそれぞれ協力する。
現在、リチウムイオン電池を使用した一次試作品が完成、蓄電量は5kWh。実用化の際に使用する電池は、今後、住宅の電力負荷を想定した評価等を行いつつ、検討していく。また、エネルギー事情は今後、大きく変化することが予想されるが、電力料金体系などが変わっても、常に安価でCO2排出量が少ない電力の利用ができるよう、柔軟なシステムとする計画。
「蓄電機能を備えたHEMS」は、電力の供給源として今後普及することが確実な太陽光発電システムや、近い将来、普及が見込まれるPHV(プラグインハイブリッド車)やEV(電気自動車)などとの連携も視野に入れており、本システムを介して「家も車も、CO2ゼロ」の実現を目指す。 2011年に実用化の目途をつけ、試行販売する考えで、将来の本格販売時には数十万円程度の製品価格を想定している。
※1:HEMSは、住宅のエネルギー消費機器である複数の家電機器や給湯機器を、IT技術の活用によりネットワークでつなぎ、自動制御するシステムで、家庭でのエネルギー使用量や機器の動作を計測・表示して、省エネルギーを喚起するほか、機器の使用量などを制限してエネルギー使用量を抑えることが可能。
※2:夜間電力は他の時間帯に比べ安い料金体系となっている。また基本的に原子力をエネルギー源とする発電の比率が高いためCO2の排出量が少ないとされる。