ゼネラル・モータース( http://www.gmjapan.co.jp )は、最先端の技術を駆使した全輪駆動システム(AWD)を搭載した「2010年型キャデラックSRX」を2009年夏に発売すると発表した。前輪と後輪間でエンジン駆動トルクを常に分配し、急な曲がり角から緩やかなカーブ、雨の日から乾いた路面まで、いかなる路面状況下でも、最高のハンドリング、安定感、グリップを確保する。
このシステムの性能に磨きをかける為、キャデラックのエンジニア陣は600,000マイルを超える距離にわたって実験を行った。あらゆる天候下で、ヨーロッパの最も複雑な道路や、イタリアとスペインの試験用コース、また、キャデラックが近年新技術の開発や実証に使ってきたドイツのサーキットなどで実験。結果として生まれたのがSRX専用に調整されたアクティブ全輪駆動システムで、新SRXモデルに搭載された新型3.0L直噴V6エンジンのパワーを最大限に活用できる。このエンジンは、最大出力265馬力(198kW)/6,950rpm、最大トルク223lb.-ft(302Nm)/5,100rpmを実現する。
発進時のトラクションを最大限に利用するため、このシステムでは、後輪の先制的な駆動を可能にする画期的な技術を導入している。従来の全輪駆動システムと違い、後輪駆動を作動させるのに前輪のスリップ探知を待つ必要がないこのシステムは、全輪駆動システムの性能に新しい基準を設けることになる。
また、運転時、この全輪駆動システムは常に作動していて、カーブを切る際のオーバーステアにもアンダーステアにも対処できるようにトルクを常に分配し、ドライバーが車の安定を常に保てるようにプログラムされている。
搭載されている電子制御装置は、ABSやESC(横滑り防止装置)等を含む車体内の20以上のセンサーから毎秒200回、データを受信する。こうして処理されるデータの内容は、車の速度、タイヤの回転速度、横加速度、スロットルの設定、エンジントルク、偏揺れ率と、ステアリング角など。これらのデータは、ドライバーのハンドル操作とスロットル開度に応じて、トルクの分配を常時調整するために使われる。
乾いた地面でスロットル全開の場合、トルクの50%は後輪に届くので、タイヤがスピンすることなく加速できる。滑りやすい地面では、例えば車の一角が氷上にある場合には、最大100%のトルクがタイヤに届きトラクションがかかる。ハイウェイ走行時には、後輪へのトルク伝達を5?10%に下げ、駆動系の抵抗を減らして燃料を節約する。その他の運転環境の大半では、トルクの後輪軸への移動は20?50%の間で変化する。
ローグリップ路面でも、新型SRXの全輪駆動システムは、確かなハンドリングと確実なトルク配分を行いつつ、車好きなドライバーに嬉しいパフォーマンスを提供する。駆動トルクのバランスを的確に保つことで、ESCスロットル値とブレーキ介入を減らし、よりスムーズで予測可能な走行を実現。
このシステムの最大の特徴は、新採用の後輪の電子制御リミテッド・スリップ・デフ(eLSD)。このeLSD装置は後輪間で最高85%のトルクを、よりグリップ力のある方の車輪に移動させることができる。急な曲がり角や、車線変更などの素早い操縦においては、車輪間でトルクの配分を調節することで、後輪が前輪にしっかりとついていきやすくなっている。
SRXの全輪駆動システムは、全く新しいシャーシと、改良されたセルフレベリング機能付きリアサスペンションジオメトリを統合、キャンバー剛性を50%向上させた。スプリング、ダンパー、ステアリングシステムは全て、快適な乗り心地とフィードバックの良さを与えるために調整されている。またSRXのタイヤは、スピードレートの高いものを使用している。
SRX担当グローバル・チーフ・エンジニアのボブ・ロイターは、「2010年型SRXは、どんな天候下でも、バランスの取れた素晴らしい動きを提供する。電子制御リミテッド・スリップ・デフ(eLSD)の全輪駆動システムは、トルクを前輪から後輪へ伝達するだけでなく、後輪車軸間でも分配する。この新システムは、全輪駆動システムそのものに新しい基準を設け、どんな路面でも、ドライバーに確実なコントロール力と自信を与える」と述べている。