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環境省、再生可能エネルギー普及に向け提言

 環境省( http://www.env.go.jp )の「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策検討会」ではこのほど、低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギーの具体的な普及方策について検討、特に太陽光発電については、普遍的に得られる自然エネルギー源であるとともに我が国の産業発展にも寄与できるものとして重点的に検討を行い、2020年や2030年に向けて導入を大幅に拡大させるための具体的な施策を示した。

 低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及方策(提言)の概要としてはまず、再生可能なエネルギー導入拡大が以下の意義を持つことに言及。
(1)わが国の低炭素社会構築に貢献
(2)途上国を含む世界の低炭素電力システム普及に寄与
(3)エネルギー安全保障の確保
(4)雇用の創出・内需拡大
(5)産業の国際競争力の向上
(6)次世代に真に引き継ぐべき良質な社会資本

 これに対しわが国の現状と将来目標として、
(1)日本は1990年以降、再生可能エネルギーの導入量が低水準で横ばい
(2005年:年間一次エネルギー供給量の約5%(大規模水力を除くと
約2%)、年間発電電力量の約9%(同2%))
(2)高い導入実績を実現し、野心的な将来目標を掲げる欧州諸国に比べ、日本の将来目標は世界最低レベル
(3)技術的経済的に見込みうる導入量を推計すると、2020年で現状の約2倍となる導入目標を掲げることが可能(年間一次エネルギー供給量の約10から11%(大規模水力を除くと約6から7%)、年間発電電力量の約16から18%(同9から10%))
と示した。

 また、これら目標達成のため、以下の政策の必要性を提唱した。
(1)再生可能エネルギー電力を対象とした政策としては、技術レベルや市場導入規模に応じた補助金、RPS制度、固定価格買取制度などの適切な支援方策の組み合わせが必要なほか、現行のRPS制度は目標値が低く(2014年1.6%)、目標値の引き上げが必要
(2)再生可能エネルギー熱・燃料を対象とした政策では、熱政策として住宅や建築物で給湯や暖房需要を賄う太陽熱利用の義務づけ、燃料政策としてガソリンにエタノールを10%混合したE10の利用推進

 さらに、太陽光発電が小売電力料金並みとなるコスト目標を2020年に14円/kWh、 2030年に7円/kWhとし、コスト目標を達成するために必要な太陽光発電導入量を2020年に3,700万kW(現状の25倍)、2030年に7,900万kW(現状の55倍)と定め、実現方策などを以下のとおり示した。
(1)公共部門での率先導入、投資回収10年を担保する方策、
技術開発により実現可能
(2)特に、固定価格買取制度は投資回収10年を担保する有力
な方策
(3)導入拡大時の日本企業の世界シェアは2020年に30%以上

 電圧上昇、周波数変動、需給バランスのくずれ、導入の費用などの障害克服は可能として、
(1)ITを活用し、大規模電源・分散電源・蓄電池などからなる電力系統を制御して電力需給の調整を図るシステム(スマートグリッド)等により蓄電池導入に過度に依存しない普及が可能
(2)普及に向けて、税や電力料金等で国民全体が薄く広く負担
(3)仮に電力料金で負担した場合、標準世帯で月額平均260円程度の負担(なお、日常生活に最低限必要な使用量(毎月120kWh程度)に相当する料金には上乗せしないような配慮や電力多消費産業への減免措置の検討が考えられる)
(4)導入拡大に必要な費用は2030年までに25兆円
などを掲げ、

 導入で享受するメリットとして、
(1)経済効果は2020年までに29から30兆円超、2030年までに58から64兆円超
(2)2020年時点で約5,000万t-CO2の削減、2030年時点で約1億t-CO2の削減に貢献
(3)雇用創出効果は2020年で約60万人、2030年で約70万人
などを挙げた。

 環境省では、「この提言により再生可能エネルギーを普及することの意義が改めて理解されるとともに、具体的な実現方策とその費用負担のあり方について国民的な議論を経て検討が進み、わが国における再生可能エネルギーの導入が拡大していくことを期待したい」とコメントしている。