三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、自動車のミッションギヤなどに使われる内歯車を、高速・高精度に低コストで仕上げ加工できる内歯車研削盤「ZI20A」を開発した。2月5日と6日に同社工作機械事業部(滋賀県栗東市)で開催する「歯車機械内覧会」で製品発表・披露を行い、4月に販売を開始する。ギヤノイズの低減ニーズに応える狙い。
同機は、回転主軸に装着するビトcBN(立方晶窒化ホウ素)砥石の形状に、同社独自技術の「樽形ねじ状砥石」を採用するなど、ホーニング加工などに比べ、研削(すべり)速度は4倍以上に引き上げ生産性を向上した。砥石寿命も大幅に延ばし、ワーク1個当たりの工具費は約6分の1として、現行の焼き入れ前加工と同等の工具費まで低減した。自動変速(AT)機構部品の加工に対する合理化投資などをはじめ、幅広い需要を見込んでいる。
自動車製造業界では自動車の静粛性や燃費の向上、生産コストの低減に向け、コンパクトなミッションギヤを高精度・高能率に、低コストで加工できる設備に対するニーズが高まっているという。最近は、特にAT車やハイブリッド車(HV)に多く使われる遊星歯車機構のギヤノイズ低減などに向け、内歯車にまで高精度加工への技術革新が求められるようになり、試行錯誤も活発になってきた。
電着砥石によるホーニング仕上げの採用が試みられているが、高コストなために生産性が低いなどの問題がある。決定的な加工法は確立されておらず、革新技術の登場が期待されていた。
また、研削速度である、すべり速度を上げるため、軸交差角(主軸の研削ワーク軸に対する傾き)は20?35度(ホーニングは5?10度)と大きく設定。これにより起こりやすくなる軸や歯面の干渉を抑えられるように、砥石はねじ状の中間部の径が漸増する独創的な樽形となる。ビトcBN砥石の採用により、工具交換までの寿命が延び、工具費が低減した。さらには、機上ドレス方式を採用し、工具の精度管理を容易にした。
主軸は15,000回転/分、ワーク軸は6,000回転/分の回転同期制御で高速・高精度な歯車研削を実現。