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三菱重工、韓国の多目的実用衛星の打上げ輸送サービスを受注

 三菱重工業( http://www.mhi.co.jp )は、韓国航空宇宙研究院(KARI:Korea Aerospace Research Institute)から同国の多目的実用衛星3号機(KOMPSAT-3:Korea Multipurpose Satellite-3)の打上げ輸送サービスを受注した。大宮英明社長が12日、KARIと韓国で契約調印したもので、三菱重工が海外顧客から衛星打上げを受注するのは今回が初めて。打上げは2011年度の予定。

 多目的実用衛星KOMPSAT-3は、韓国KOMPSAT-1、2の後継機。これまで以上に高い解像度を持つ光学機器を搭載、太陽同期軌道を周回して、地球の地理情報解析に必要な高解像度画像の提供や各種の環境観測などを行う。

 衛星は直径2.0m、高さ3.5m。打上げに際しては、韓国から船で鹿児島県種子島に運ばれ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターからH-IIAロケットにより、地球環境変動観測のためのJAXA水循環変動観測衛星(GCOM-W)と相乗りで太陽同期軌道へ投入されることとなる。

 三菱重工は2007年以降、KARIからの提案要請を受け、H-IIAロケットによるKOMPSAT-3の打上げ輸送サービスの提案を行い、2008年10月末には最優先交渉事業者に選定されていた。その後の詰めの交渉を経て、今回の契約調印となったもの。

 H-IIA ロケットは日本の基幹ロケットで、これまで14機中13機の打上げに成功している。2005年2月の7号機以降は8回連続で成功し、欧米勢に遜色のない高い成功率を誇っている。なお、2009年1月には、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)をH-IIA15号機で打上げる予定。

 わが国の衛星打上げ用ロケットの開発は、1975年打上げのN-1ロケットを皮切りに、宇宙開発事業団(JAXAの前身)を中心として、N-II、H- I、H- II、H-IIAと開発が進められてきた。三菱重工はこれら開発で主要な役割を果たしており、大型ロケットH-IIAではシステムインテグレーターとして開発と生産の責任を担ってきたが、2007年4月以降は、JAXAからの事業移管を受け、同社が製造から打上げまで一貫してH-IIA衛星打ち上げ輸送ビジネスを担う体制となっている。今回の受注は、これら実績と信頼性の高さが評価されたことによる。

三菱重工では、「海外からの衛星打上げ初受注を機に、国内外の衛星打上げ輸送サービス市場で一層積極的に営業を展開、わが国宇宙産業の将来を切り拓いていきたい」としている。