NTN(Tel.03-5487-2820、http://www.ntn.co.jp)は、CO2排出量削減や原油価格の高騰に対応するため、今後一層の高効率化が要求されるトランスミッション用軸受に、回転トルクを80%低減した密封型深溝玉軸受を開発した。
自動車の省燃費化要求の高まりに伴い、トランスミッション用軸受の低トルク化が必要となってきている。これまでトランスミッション用軸受は“回転トルク重視の開放型軸受”か“異物侵入防止重視の密封型軸受”を採用しており、“開放型軸受”はシールがないため回転トルクは低いが、異物が侵入しやすく軸受寿命の低下が懸念されるため、特殊材料、特殊熱処理を施す必要があった。一方、“密封型軸受”はシールが装着されているため、異物侵入防止には優れているが、“開放型”に比べ大幅に回転トルクが高いという課題があり、両者の特長を兼ね備えた軸受が望まれていた。 本開発品では、シール材の組成とリップ形状を見直し、内輪シール摺動部の最適化を図ることにより、軽接触シールのリップ部を早期に摩耗させ、非接触シールとし、最も小さなすきまを得ることができた。これにより、シール性を確保しつつ、通油性は従来品の約30倍で軸受潤滑を確保、かつ開放型軸受と同等の回転トルクも実現した。さらに保持器ポケット部形状の改良とグリース性状の見直しにより、従来の「軽接触シール付玉軸受」に比べ80%の回転トルク低減を実現した。 従来品(軽接触シール付玉軸受)と比較したときの特長は、(1)回転トルク: 80%低減(2)異物侵入性:侵入異物粒径35%カット(3)潤滑性:約30倍の通油性 (4)寿命:異物入り潤滑条件下で同等以上。 NTNでは、自動車の省燃費化に貢献できる商品として本開発品をグローバルに市場展開、2012年にはトランスミッション用玉軸受として10億円/年の販売を目指す。