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東京理科大学・佐々木研究室、第32回トライボサロンを開催

2日 7時間 ago
東京理科大学・佐々木研究室、第32回トライボサロンを開催kat 2025年06日16日(月) in

 東京理科大学・佐々木研究室(主宰:佐々木信也 教授)が主催する「トライボサロン」(https://www.tribo-concierge.com/topics/296/)の第32回目が6月14日、東京都葛飾区の同大学 葛飾キャンパスでのオンサイト参加とオンライン参加からなる、ハイブリッド形式によって開催された。

開催のようす

 

 トライボサロンは、トライボロジーに関係する情報・意見交換の場として、毎月1回のペースで開催されている。もともとは佐々木研究室の博士課程学生の勉強会として発足し研究成果の発表や最新の研究動向などに関する意見や情報交換を重ねてきたが、2022年9月からは佐々木研究室に限らず広く参加の戸を開き、関係者のネットワーク作りも目的の一つとして活動している。トライボロジーに関する情報交換、人材交流等を通し、関連技術の向上と発展に資することを目的に、次の活動を円滑に行えるよう運営に努めている。

 第32回目となる今回のトライボサロンでは、ENEOS・髙木智宏氏が、「塑性加工における硫黄系極圧剤の潤滑特性」のテーマで話題提供を行った。市販の硫黄系極圧剤は商品によって硫黄架橋分布はさまざまで複数の化合物から構成されるが、ここでは分子構造と潤滑性能の関係を調べるため、溶剤抽出法によって硫黄架橋数を同程度に揃えたサンプルを用意した。しごき加工を模擬した「内面しごき試験」において、硫黄量と試料油としての動粘度を揃えた場合、硫化オレフィンではアルキル鎖による違いはなかった。また、硫化オレフィンは、硫化エステル・油脂よりも潤滑性能が優れ、摩擦面から硫黄が強く検出された。さらに硫黄系極圧剤のC-S結合解離エネルギーと焼付き防止性能に関係が認められた。絞り加工を模擬した「ドロービード試験」においては、硫黄量と試料油としての動粘度を揃えた場合、潤滑性能は硫化オレフィンで比較すると分岐型のC8よりも直鎖型のnC12の方が優れ、硫化オレフィンよりもエステル基を有する硫化エステル・油脂の方が優れていた。ドロービード試験では吸着特性の影響が大きいと考えられる。硫黄系極圧剤の分子構造と潤滑特性の関係を調べ、潤滑機構解明の一端に取り組んだ結果、硫黄系極圧剤は、摩擦条件(加工方法)によって最適な分子構造が異なる、潤滑性能は摩擦条件によって硫黄系極圧剤の分解特性(C-S結合解離エネルギー)もしくは吸着特性の影響を受ける、短軸引張試験による反応性評価手法を提案し、硫黄系極圧剤はその種類や温度によって反応性は異なり変化する、基油の種類(鉱油系基油とエステル基油)によって最適な硫黄系極圧剤の分子構造が異なる、といった知見が得られた。

 トライボサロンに関心のある方は、以下のURLを参照されたい。
 https://www.tribo-concierge.com/topics/296/

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