メインコンテンツに移動
カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー

 

Aggregator

エボニック、経営のスリム化・差別化を図るため、グループの新体制導入へ

6ヶ月 ago
エボニック、経営のスリム化・差別化を図るため、グループの新体制導入へkat 2025年01日15日(水) in

 エボニック インダストリーズは、新たな組織体制を導入し、大幅にスリム化されたマネジメントモデルに移行する。これまで四つの事業部門内に設置されていたビジネスラインについては、取締役会が直接指揮を執ることになる。今後は、「カスタム・ソリューション(Custom Solutions)」、および「アドバンスド・テクノロジー(Advanced Technologies)」という二つのセグメント体制で事業経営を行い、差別化を図る。

 エボニックは近年、成長性とレジリエンス(強靭性)、そして地政戦略的バランスに重点を置いたポートフォリオを展開してきたが、今回の大規模な組織再編を経て、新たなステップに踏み出そうとしている。

 取締役会長(CEO)のクリスチャン・クルマン氏は、「当社は近年、ポートフォリオの質を大幅に向上させてきた。しかし現在は、スペシャルティケミカルにのみ注力するだけでは会社を前進させるには十分でなくなってきた。その言葉自体、曖昧な意味しか持たなくなり、顧客や資本市場の視点から見ても十分に差別化を行えなくなってしまった。そのため、今後はソリューションとイノベーション主導型ビジネス、およびテクノロジーと効率主導型ビジネスを2本柱に据え、それぞれの強みを生かして経営の差別化を図る。新しいマネジメントモデルは、このアプローチを考慮したものとなっている」と述べている。

 現在、エボニックは、スペシャルティアディティブス、ニュートリション&ケア、スマートマテリアルズ部門として化学事業を運営している。エボニック グループは、2025年4月1日から施行する新体制で、「カスタム・ソリューション」、および「アドバンスド・テクノロジー」という二つのセグメントに組織を再編する予定で、これにより、より明確な戦略的集中と資源配分が可能となり、各ビジネスモデルに応じた事業経営を行い、さらなる差別化を図ることができる。両セグメントは、それぞれ年間約60億ユーロの売上高を計上している。

 監査役会会長のベルント・テニェス氏は、「監査役会は取締役会が打ち出した新たな戦略とグループの構造改革を全面的に支持している。新体制により、エボニックは高い収益性を確保した成長を遂げる可能性を最大限に引き出せると確信している」と述べる。

 カスタム・ソリューションセグメントは、イノベーション主導型のビジネスモデルを特徴としている。特定のニッチ市場で事業を行い、顧客との距離が近く、カスタマイズされたソリューションを展開することで、価格設定の主導権を担っていく。従業員約7000人を擁するこのセグメントは、買収も重要な目標としている。塗料・コーティング用添加剤、化粧品・医薬品業界向けの製品が含まれる。

 アドバンスド・テクノロジーセグメントは効率主導型で、高度な技術的専門知識と卓越したオペレーションを特徴とするため、世界的にも非常に高いコスト競争力を持つことができる。約8000人の従業員を擁する同セグメントには、高機能ポリマーや過酸化水素製品の製造などが含まれる。

 この二つのセグメントは相互に補完し合い、エボニック グループが価値創造を行う上で、どちらも極めて重要な役割を果たします。カスタム・ソリューションセグメントは、成長ドライバーとしての役割を担い、調整後EBITDA(支払利息・税金・減価償却費控除前利益)の成長において、大きな貢献を果たす。アドバンスド・テクノロジーセグメントはまた、より資金供給的な役割を果たし、キャッシュフローを生み出す。またROCE(使用資本利益率)を全事業の主要指標とする。両部門が牽引力となり、エボニックはグループレベルで資金を獲得する。

 同時に、両セグメントを通して、サステナビリティを推進していく。エボニックは、持続可能性に優れた製品、いわゆる次世代ソリューションの占める割合を、2030年までに50%以上に拡大することを目指している。

 エボニックグループの中核をなす事業部は、企業活動の中心となっている。2026年末まで組織構造の改善に取り組む「エボニック・テーラーメイド」プログラムは、長期的に大幅なコスト削減を実現するもので、この原則に則っている。計画段階を経て、今年すでに最初の構造的措置が実施された。これにより、意思決定とプロセスが迅速化され、管理職も大幅に削減される。プログラムの終了時までに、エボニックはグループ全体のマネジメントレベルの階層数を平均10段階から最大6段階までに削減すると同時に、3000以上の組織単位の廃止も行う。

 この取り組みは、新たな組織体制で実施されるスリム化を図ったマネジメントモデルに反映されている。2025年4月1日時点で事業部門(Division)は廃止になり、それに伴う管理業務が完全に撤廃される。新たなセグメント内にそれぞれ集約されるビジネスラインは、取締役会の担当役員によって直接運営が行われることとなる。

 カスタム・ソリューションセグメントは、アメリカ国籍を持ち、現在スマートマテリアルズ部門の責任者を務めるローレン・ケルセン氏が指揮を執り、アドバンスド・テクノロジーセグメントは、フランス国籍で現在スペシャルティアディティブス部門の責任者であるクローディン・モレンコフ氏が統括する。両氏は2025年4月1日付で取締役に就任する予定。

 クルマン氏は、「当社の取締役会はさらに国際色豊かになり、女性の占める割合も高くなる。ローレンとクローディンはリーダーとして既に大きな功績を築いており、取締役会で一緒に仕事ができることを楽しみにしている。力を合わせてより良いエボニックにしていく」と語る。ケルセン氏は、各セグメントの他、イノベーションおよび南北アメリカ地域を、モレンコフは、アジア太平洋地域およびオペレーショナル・エクセレンス(製造拠点の継続的なプロセス改善)を担当する。

 最高人事責任者兼労務担当取締役のトーマス・ヴェッセル氏は、新年度から、パフォーマンスインターミディエイツ事業を含むインフラストラクチャー部門と、技術面でサステナビリティを推進する新たな次世代テクノロジー部門の責任者も兼務する。

 2017年から取締役会副会長を務めてきたハラルド・シュヴァーガー氏は退任する。また、ニュートリション&ケア部門代表のヨハン・カスパー・ガメリン氏、およびパフォーマンスマテリアルズ部門代表のヨアヒム・ダム氏も退任する予定。

kat

BASF PETRONAS Chemicals、マレーシアのクアンタンに2-エチルヘキサン酸の新プラントを竣工

6ヶ月 ago
BASF PETRONAS Chemicals、マレーシアのクアンタンに2-エチルヘキサン酸の新プラントを竣工kat 2025年01日15日(水) in

 BASF PETRONAS Chemicals (BASFペトロナス・ケミカルズ、BPC)は、マレーシアのクアンタンにあるフェアブント拠点(統合生産拠点)おいて、二つ目となる2-エチルヘキサン酸(2-EHAcid)の生産ラインの稼働を開始した。今回の増設は、高品質な2-エチルヘキサン酸に対する需要の急増に直接対応するもので、BPCの重要な地域の顧客に対するコミットメントを改めて示すもの。

 2016年の稼働以来、2-エチルヘキサン酸生産プラントは東南アジア地域の成長を支える重要な役割を担ってきた。第2生産ラインの起工式は2023年第1四半期に行われた。2024年第3四半期現在、この新しい生産ラインはフル稼働しており、年間生産能力を60000tに倍増し、イノベーションを促進して世界中の顧客のニーズの進化に応えるというBPCの姿勢を一層強化している。クアンタンのフェアブント拠点での生産能力増強を祝う落成式には多くの顧客も参加、顧客を第一に考える組織の継続的な取り組みが改めて強調された。

 2-エチルヘキサン酸(2-EHAcid)は合成潤滑剤やオイル添加剤の製造に複合体として使用される化学中間体で、自動車用冷却液などの機能性液剤、塗料乾燥剤用金属塩、可塑剤、安定剤、触媒などの用途で、さまざまな産業で使用されている。BASFはマレーシアのクアンタンにある生産拠点に加え、ドイツのルートヴィッヒスハーフェンにあるフェアブント拠点(統合生産拠点)でも2-エチルヘキサン酸を生産している。

 BASFの取締役会メンバーで最高技術責任者(CTO)のステファン・コートラーデ氏は、「今回の拡張は、利益ある成長と価値創造への我々のコミットメントにおける重要な一歩。新たな戦略の一環として、我々は高成長を遂げるアジア市場におけるコア事業拠点の拡張に取り組んでおり、高品質な製品で顧客のニーズの増大に確実に応えていく」と語っている。

 また、BASFのアジア太平洋地域化学品中間体事業本部のシニアバイスプレジデントであるマイケル・ベッカー氏は、「今回の拡張によって、我々はアジア太平洋地域における高品質な2-エチルヘキサン酸への急速な需要増加に対応できるようになる。生産能力を増強することで、我々は顧客のニーズへの対応力を強化し、市場をリードするサプライヤーとしての地位を確固たるものにしていく。持続可能な中間体を生産するメーカーとして選ばれるパートナーになるというビジョンの実現に全力を尽くす」と述べる。

 さらに、BPCの会長でPETRONAS Chemicals Group Berhadのマネージング・ディレクター兼最高経営責任者であるマズウィーン・イスマイル氏は、「今回の拡張の成功は、我々のパートナーシップが強固なものであり続け、成長と協力に対するコミットメントを共有していることを示すもの。生産能力の増強により、BPCはこの地域の成長機会を戦略的に生かすことができるようになり、我々は工場の将来に大きな期待を寄せている。当社の製品に対する需要が増加の一途をたどるなか、我々は需要に効率的かつ効果的に応えるための十分な設備を整え、顧客に最高品質の製品を迅速に提供できるようにする」と言う。

 BPCのマネージング・ディレクターであるタン・エイク・ミーム氏はまた、「親会社であるPETRONASとBASFとの強力なパートナーシップに感謝する。このプロジェクトを成功させる上で、両社の支援は計り知れないものであり、また、この重要な生産能力増強を実現したプロジェクトチームのすばらしい仕事を讃えたいと思う」と述べている。

クアンタンのフェアブント拠点の第2生産ラインの落成式のようす

 

落成式には多くの顧客も参加

 

kat