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カーボンニュートラル実現に向けた歯車システムとトライボロジー

 

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日新電機、インド拠点に最新の大型ドライコーティング装置を導入

3年 2ヶ月 ago
日新電機、インド拠点に最新の大型ドライコーティング装置を導入

 日新電機( https://nissin.jp/ )のグループ会社で、インドで切削工具や金型、自動車部品向けドライコーティングサービスを手掛けるNissin Advanced Coating Indo Co., Private Ltd.(本社:インド、以下ACI)は、 アーク式イオンプレーティング法の大型コーティング装置「iDS-720」を導入し、2021年12月から本格的に生産をスタートさせた。

iDS-720

 今回導入した「iDS-720」は、同社グループ会社の日本アイ・ティ・エフの最新機種であり、コーティングゾーン直径720mm×高さ800mmの大容量のコーティング装置。新型の蒸発源「ステアワン蒸発源」を搭載しており、従来機種と比較し成膜速度が約20%高く、平滑性の良好な高品質なコーティング膜を効率よく処理することが可能。今回の同装置の導入により、ACIの全工場に大容量のコーティング装置を配備した。大型プレス金型や長尺の溝加工用ブローチなどへのコーティング処理を迅速に対応する。

 世界第2位の人口13億人を有し世界第6位の自動車生産台数を誇るインドにおいて、自動車産業の成長とともに切削工具や各種金型、自動車部品などへのコーティング需要が増加している。ACIはインド最大の自動車部品メーカーであるSamvardhana Motherson Group(本社:インド)との合弁会社であり、2007年にデリー近郊のノイダでコーティング事業を開始し、以降2017年にムンバイ近郊のプネに第2工場、2021年にアフマダーバード近郊のグジャラートに第3工場を設立して事業を拡大してきた。

admin 2022年3月29日 (火曜日)
admin

日本製鉄、アルミめっきホットスタンプ鋼板を用いたテーラードウェルドブランク製品の販売開始

3年 2ヶ月 ago
日本製鉄、アルミめっきホットスタンプ鋼板を用いたテーラードウェルドブランク製品の販売開始

 日本製鉄( https://www.nipponsteel.com/ )は、アルミめっきホットスタンプ鋼板(AL-HS鋼板)のテーラードウェルドブランク(TWB)技術を独自開発し、製品販売を開始した。国内では初めての事業化となる。九州製鉄所八幡地区では、従来、部品の素材となるAL-HS鋼板を国内外に供給しているが、今回、素材・TWBの一貫でのサポート体制を構築した。

 TWB技術は板厚や強度の異なる鋼板(ブランク材)をレーザ溶接で接合して一枚の鋼板にする加工技術であり、TWB技術で接合した鋼板を用いることにより、部材の強度や板厚の最適化による車体性能向上、軽量化、およびコスト低減を図ることが可能となる。しかし、AL-HS鋼板をTWB技術で接合すると、溶接部へアルミが混入しホットスタンプ後の継手強度が低下する課題があり、TWB技術で接合したAL-HS鋼板の自動車車体への適用は困難だった。

 今回、九州製鉄所で事業化したTWB技術は、同社独自開発の接合技術により高い継手強度を実現しており、従来スポット溶接構造であったAL-HS鋼板を用いたセンターピラーなどの車体構造部品に対し、センターピラー上部(アッパー側)には客室空間保護のため高強度AL-HS鋼板を、下部(ロア側)には側面衝突時の必要性能を確保するため低強度AL-HS鋼板をTWB技術で接合することを可能にした。このAL-HS鋼板を用いたTWB材の適用により、車体性能の向上と安全性の確保、軽量化、さらには部品コスト低減が実現する。

 

admin 2022年3月29日 (火曜日)
admin

第18回 FC EXPOが開催、バイポーラプレート向けコーティング技術などが披露

3年 2ヶ月 ago
第18回 FC EXPOが開催、バイポーラプレート向けコーティング技術などが披露

 「スマートエネルギーWeek 2022 FC EXPO 春~国際]水素・燃料電池展~」が3月16日~18日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。

 トヨタ自動車(https://www.toyota.co.jp/)は、これまで燃料電池車(FCV)「MIRAI」や燃料電池(FC)バス「SORA」の販売、FC製品の開発・製造事業者(FC製品事業者)へのFCシステムの販売、さらにはFC関連の特許実施権無償提供など水素社会実現に向けた取り組みを進めてきたが、今回、燃料電池(FC)システムをパッケージ化したFCモジュールを開発し、披露した。このモジュール化により、トラック・バス・鉄道・船舶などのモビリティや定置式発電機など様々な用途のFC製品事業者に容易に活用してもらうことが可能となる。 そこで同社ではこうしたニーズに対応し、高性能化された2代目MIRAIのFCスタックやエア供給・水素供給・冷却・電力制御など各々のFCシステム関連部品を一つのコンパクトなパッケージにした。定格出力は60kWと80kWの2種、各々に縦型(TypeⅠ)と横型(TypeⅡ)の2種の計4タイプを用意している。FCモジュールは、水素タンクを含まないため、FCモジュールの汎用性を高めるべく、MIRAIで採用実績のある自動車用70MPaの複数の樹脂製高圧水素タンクと水素センサーや自動遮断弁などの安全装置をインテグレートした水素貯蔵モジュールも開発を進めており、併せて紹介した。

トヨタ自動車 水素貯蔵モジュール

 ホンダ(https://www.honda.co.jp/)は、電動モビリティとエネルギーサービスをつなぎ「自由な移動の提供」と「再生可能エネルギーの利用拡大」に貢献する「Honda eMaaS(イーマース)」のコンセプト実現に向けた手法の一つである「FCシステムの応用・展開」について展示し、これまでのFCの取組みについて紹介するとともに、今後の様々な分野・領域へのFC技術の活用の広がりを提案した。水素社会実現に向けたFCの本格普及を目指し、低コスト化を進め生産効率を高めるとともに、モビリティ領域だけでなくさまざまな分野・領域に適用させるための高い信頼性を確保した「FCパワーユニット プロトタイプ」を展示。これは、ゼネラルモーターズ(GM)とホンダで共同開発を行っている。「FC可搬型電源コンセプト」は、FCを用いた可搬型電源。FCV「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」のFCパワーユニットや、車載向け水素タンクを活用し、パッケージ化した自立型電源供給ユニットで、様々な環境・場所で人々の生活に必要な電力をカーボンニュートラルで提供する。さらに、FCスタックを複数組み合わせた「拡張型FCシステム」は、FCを自動車だけでなく様々なモビリティの動力源や建物などの電源としても用いることが可能で、システムの組み合わせにより様々な用途に合わせた出力を提供できる。

ホンダ FCパワーユニット プロトタイプ

 IHI Hauzer Techno Coating(https://www.hauzertechnocoating.com)は、燃料電池バイポーラプレートにおいても、導電性・耐食性に優れたカーボンコーティングの高スループット量産装置を紹介、燃料電池車量産フェーズに向けてその市場投入の準備が整っていることをアピールした。インライン式PVDコーティング装置「Hauzer Metalliner®」は、大量生産に適した設計がなされており、高度に自動化された工場ラインへのインテグレートも容易で、モジュールコンセプトのため生産能力増強など高い拡張性を有する。燃料電池バイポーラプレート向けカーボンコーティングでは年間1000万枚レベルもの生産が可能なため、量産フェーズに最適。また、バッチ式PVDコーティング装置「Hauzer Flexicoat® 1500」は、高い次元の拡張性を有するモジュールコンセプトで設計され、様々なコーティング技術を1台の装置に搭載することができる。燃料電池バイポーラプレート向けカーボンコーティングでは年間数十万枚の生産が可能なため、パイロットプロダクション向けに提案している。今回はIHIグループ企業でコーティング受託加工を手掛けるIHI Ionbondと共同で出展、上述の装置販売に加えて、バイポーラプレート向けにすでに実績のある二重にコーティング処理をする「DOT™」やカーボンコーティングの受託加工についても、グループとして対応可能なことを示した。

IHI Hauzer Techno Coating バイポーラプレート向けカーボンコーティング

 ニシムラ(http://www.nishimura-net.co.jp/)は、燃料電池用金属セパレータ(カソード・アノード)を紹介した。板厚0.1mmのステンレス材料(SUS316L)を均等に伸ばしながら微細な流路を成形(たとえばピッチ=1.2mm、高さ=0.5mmの流路など)。流路高さの均一性は10μm以内で、全体の反り、歪を抑えることで 後工程の溶接やシールの作業性も改善されている。高精度な金型とプレス加工、薄板成形のノウハウから作り出されるセパレータの品質レベルの高さや、セパレータの成形、溶接も社内で行いバイポーラプレートとして提供することも可能なことをアピール。また、コーティングやシール技術についてもパートナー企業との連携で、ユーザーニーズに事細かに対応できることを示した。同社ブースではIHI IonbondやSydrogen Energy(Nanofilm Technologiesグループ企業)といったパートナー企業で成膜されたバイポーラプレートのコーティングサンプルが展示された。

ニシムラ バイポーラプレートのコーティングサンプル

 

kat 2022年3月28日 (月曜日)
kat

表面技術協会、第73回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催

3年 3ヶ月 ago
表面技術協会、第73回通常総会・協会賞など各賞授与式を開催

 表面技術協会( https://www.sfj.or.jp/ )は2月28日、オンライン会議システムを利用したリモート方式により「第73回通常総会および各賞授与式」を開催した。

第73回通常総会のもよう

 会の冒頭、光田好孝会長は「コロナ禍であるため2年続けてオンラインでの開催となった。会長に就任した年は対面での総会開催となったが、この2回はオンラインとなったことをご了承いただきたい。また、皆様ご多忙の中、第73回通常総会にご参加いただき感謝する」と挨拶を述べた。

挨拶する光田会長

 続いて第72期事業報告、会計報告が行われた後、第73期事業計画、収支予算について審議、満場一致で可決された。事業報告では、第143回講演大会(3月4日~5日)と第144回講演大会(9月16日~17日)は新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえオンライン方式で開催したこと、延期していたINTERFINISH2020 -20th Interfinish World Congress(第20回表面技術国際会議)を2021年9月6日~8日にオンライン開催したこと、日本溶融アルミニウムめっき協会からの依頼により表面技術協会が日本規格協会との窓口となり溶融アルミニウムめっき関連企画(JIS H 8642:1995、JIS H 8672:1995)の改正作業を進めていることなどを報告した。事業計画では、3月の第145回講演大会をオンライン開催とすることや9月の第146回講演大会を埼玉工業大学で開催すること、ISO/TC107からの提案事項の審議や電波遮断金属薄膜応用部品の密着力測定に関する国際標準化調査を行うことなどを確認した。

 任期満了に伴う役員改選では、今期より会長に松永守央氏(北九州産業学術推進機構 理事長)、副会長に幅﨑浩樹氏(北海道大学 大学院工学研究院 教授)、山本渡氏(山本鍍金試験器 代表取締役社長)が新たに選任された。坂本幸弘氏(千葉工業大学 工学部 教授)と久保祐治氏(日鉄ケミカル&マテリアル 常務執行役員)は前期に引き続いて副会長を務める。

 理事を代表して挨拶に立った松永新会長は「私が当協会副会長を務めさせていただいたのが第60期・61期で12年前になる。今回、総会に出席させていただいて昔とそれほど変わっておらず安心している。コロナ禍で丸2年間東京に行っていない。それ以前は月に3~4回は行っていた。こんなことは初めてだ。コロナ禍もそろそろ終わってもらいたいと思っているとともに、皆様とお会いして様々なことを議論したいと思っているので、皆様のご助力をお願いしたい」と述べた。

挨拶する松永新会長

 当日の席上では、「2022年度 表面技術協会 各賞授与式」が行われ、各賞選考委員長が受賞者と業績、受賞理由を述べた。協会賞には、竹内貞雄氏(日本工業大学 基幹工学部 教授)が業績「ドライプロセスによる炭素系硬質膜の合成ならびに機械的諸特性の解明」で受賞。竹内氏は、主にダイヤモンド膜合成に関わる周辺技術の開発から基礎物性・機械的特性評価、応用評価までの幅広い領域について、先駆的な研究開発を進めてきた。独自の工夫を盛り込んだ密着力の評価試験機、摩耗試験機、疲労試験機などを製作して、ダイヤモンド膜の残留応力と摩耗特性の関係、ボロン添加と機械特性の関係、工具応用に不可欠な繰返し変形に対する疲労特性などを明らかにしてきた。さらには応用評価として、切削分野はもとより塑性加工分野におけるダイヤモンドコーテッドダイスによるステンレス鋼板の絞り加工を実現している。主たる研究成果としては①チャンバーフレーム法による高品質ダイヤモンドの合成とCL(カソードルミネッセンス)分光分析による結晶欠陥の評価②2次核形成の制御による多層構造ダイヤモンド膜の合成技術の確立と多層化に伴う破壊強度の向上効果の検証③多結晶ダイヤモンド膜に残留する圧縮応力と耐摩耗特性の関係の解明、摩耗特性を迅速に評価できる摩耗試験機の開発④ボロンドープによるダイヤモンド膜の耐摩耗性、機械特性の向上効果の検証、⑤繰返し変形を受けるダイヤモンド膜、DLC膜の疲労特性の評価、が挙げられる。これらの研究成果は同協会を中心とした学術論文として報告されている。以上のように、竹内氏はドライプロセスによる炭素系硬質膜に関する合成技術の確立、基礎特性・機械特性評価、応用評価までの一連の研究によって、表面技術の発展に顕著な貢献をしている。よって、同協会は表彰規定第4条により2022年度協会賞に相応しいと判定した。

 また論文賞では、吉兼祐介氏(奥野製薬工業)ら7名が業績「濃厚塩化カルシウム水溶液からの硬質3価クロムめっき」で受賞。この論文は、濃厚塩化カルシウム水溶液からの硬質3価クロムめっきについて検討したもの。既存浴へのホウ酸およびノニオン系界面活性剤の添加によって光沢めっき皮膜を得ることに成功し、カルボン酸を錯化剤とする3価クロムめっき皮膜と比較して炭素含有量が低く、結晶性の金属クロム相を得た。水素発生というこの濃厚塩化カルシウム水溶液の特徴より、電流効率は従来の3価クロムめっきや6価クロムめっきを大きく上回る60~70%を示した。めっき皮膜の硬度および耐摩耗性は6価クロムめっきと同等であり、加えて熱処理時の変化が小さいという点で、6価クロムめっきに対する優位性を確認している。このように本論文では、濃厚塩化カルシウム水溶液を使用し自由水を減少させることにより、電析における水素発生の抑制に成功し、さらに炭素含有量の抑制により結晶性の高いクロムめっき皮膜を実現、硬質めっきとして実用に資する皮膜特性が示されたことなどが論文賞としてふさわしい内容であると判断された。

 受賞者、業績などの一覧は以下のとおり。

協会賞

・竹内貞雄氏(日本工業大学 基幹工学部 教授)
業績「ドライプロセスによる炭素系硬質膜の合成ならびに機械的諸特性の解明」

功績賞

・川口 純氏(日本パーカライジング・日本カニゼン)
・小坂幸夫氏(東京都立産業技術研究センター)

論文賞

・吉兼祐介氏・瀬戸寛生氏・片山順一氏・長尾敏光氏(奥野製薬工業)、大澤燎平氏・北田敦氏・邑瀬邦明氏(京都大学)
業績「濃厚塩化カルシウム水溶液からの硬質3価クロムめっき」
(表面技術 第71巻 第12号 815~820頁)

技術賞

・該当なし

進歩賞

・加藤友人氏(小島化学薬品 表面技術事業部)
業績「微細配線向け新規無電解貴金属めっきプロセスの開発と実装特性に関する研究」
(表面技術 第72巻 第2号 110~116頁ほか)
・堀内義夫氏(関東学院大学 総合研究推進機構 講師)
業績「UV照射による表面改質法を用いた無電解めっきパターンの形成に関する研究」
(表面技術 第68巻 第3号 158~164頁ほか)

技術功労賞

・加藤美由紀氏(日本製鉄 技術開発本部 尼崎研究支援室)
・三澤孝夫氏(スズキハイテック 事業開発課)
・片山正人氏(清川メッキ工業 第五製造部)
・安田敬一郎氏(オジックテクノロジーズ ウエハ部兼技術部)
・冨澤 均氏(吉野電化工業 製造部)

会員増強協力者

・呉 松竹氏(名古屋工業大学 工学部 物理工学科)
・石﨑貴裕氏(芝浦工業大学 工学部 材料工学科)
・湯本敦史氏(芝浦工業大学 工学部 材料工学科)

 

admin 2022年3月4日 (金曜日)
admin

トライボコーティング技術研究会、第14回岩木賞贈呈式、第24回シンポジウムを開催

3年 3ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、第14回岩木賞贈呈式、第24回シンポジウムを開催

 トライボコーティング技術研究会と理化学研究所は2022年2月25日に、「岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)第14回贈呈式」および「第24回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム-摩擦界面の解析と固体潤滑、DLCコーティングの最前線、薄膜研磨・デバイス開発-」をハイブリッド開催した。

第14回岩木賞受賞者と関係者

 

 岩木賞は表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。トライボコーティング技術研究会が提唱して2008年度に創設、未来生産システム学協会(FPS)が表彰事業を行っている。

 第14回目となる今回は、埼玉工業大学 長谷亜蘭氏が業績名「摩擦界面in situ観察・AEセンシング研究によるトライボロジー現象の可視化・診断の基盤構築」で優秀賞に、川邑研究所 川邑正広氏・宇宙航空研究開発機構(JAXA) 松本康司氏が業績名「宇宙探査における次世代型サンプルリターン用固体被膜潤滑剤の開発」で特別賞に輝いた。また、ティ・ディ・シーが業績名「金属箔(長尺フープ状)研磨技術の開発」で事業賞を受賞した。

 優秀賞の業績「摩擦界面in situ観察・AEセンシング研究によるトライボロジー現象の可視化・診断の基盤構築」は、摩擦界面in situ観察(その場観察)とアコースティックエミッション計測(AEセンシング)を活用し、トライボロジー現象の可視化・診断に関する研究を推進し、トライボロジー現象が関わる様々な問題解決へのアプローチを行ったもの。in situ観察によって得られた各種トライボロジー現象とAE信号の関係を明らかにしたほか、各種実験を実施しそのトライボロジー現象下で検出されたAE信号原波形の特徴を整理し、トライボロジー現象AE信号周波数の相関マップとして体系化した。AE信号周波数変化に着目したトライボロジー現象のインプロセス計測への適用・普及に貢献。AEセンシングによるIoT化・スマート化を一挙に加速できるほか、日用品、食品、医療など異分野への応用・展開が期待できることも評価された。

 受賞の挨拶に立った長谷氏は、「AEの研究は職業能力開発総合大学校 和田正毅先生の指導の下で始め、その後、トライボロジー研究の祖・曽田範宗先生の弟子である笹田 直先生、三科博司先生の下で摩耗の研究に入った。曽田先生も在籍した理化学研究所とトライボロジーの関わる岩木賞の受賞は、非常に感慨深い。実際の摩擦界面で起こるトライボロジー現象を可視化・診断する研究は必要不可欠であり、本研究成果は、省エネルギー・省資源、環境負荷低減につながるトライボロジー改善の根幹となる問題解決および最適化に貢献できると考えている。岩木正哉先生の名に恥じぬよう引き続き研究を進めていきたい」と語った。

左から、長谷氏、大森会長、当日プレゼンターを務めた熊谷泰副会長

 

 特別賞の業績「宇宙探査における次世代型サンプルリターン用固体被膜潤滑剤の開発」では、次世代型サンプルリターン機構の駆動部の潤滑要件に耐える固体被膜潤滑剤の開発に成功したことが評価された。探査機のサンプルリターン機構部品に固体被膜潤滑剤を適用する際には、摺動部から排出された摩耗粉がコンタミとなった場合でも地球外物質と明確に区別できるよう、固体被膜潤滑剤に使用可能な材料が制限されている。より多く、より大きな試料を持ち帰るために機器の大型化が進むサンプルリターンでは、駆動部の摩擦部には負荷が増すことからより潤滑性・耐久性の高い潤滑剤が求められる。高負荷条件で実績のある層状固体潤滑剤・二硫化モリブデン(MoS2)など多くの無機材料が制限され、限られた材料でMoS2系被膜の特性に相当する潤滑剤を開発する必要が生じている。本業績は、四フッ化エチレン(PTFE)樹脂とポリイミド(PI)樹脂結合材を組み合わせた摩擦係数0.1以下の長寿命の固体被膜潤滑剤を開発し、次世代のサンプルリターン機構に対応できる可能性を示した。

 受賞の挨拶に立った川邑氏は、「1980年代にJAXA(当時NASDA)が純国産ロケットの開発を開始した折から、潤滑剤も国産でとのお声がけをいただき宇宙機器用固体潤滑被膜の研究開発で参画した。以来、いくつかの宇宙プロジェクトの成功に向けて、目立たないのが美徳という潤滑剤でこつこつと実績を積み重ねてきた。いずれも多くの先生方の指導の下、成し遂げてきたもので、目立たないのが美徳の潤滑剤でこのような賞をいただけたことは、先生方の指導の賜物であり、あらためてここに感謝の意を表したい。新技術が登場するたびに潤滑にも新しい課題が突き付けられる。今後も潤滑の課題解決に向けて引き続き開発に努めていきたい」と語った。

左から、松本氏、川邑氏、大森会長、熊谷副会長

 

 事業賞の業績「金属箔(長尺フープ状)研磨技術の開発」は、長尺フープ状の銅箔への鏡面加工依頼に対し金属箔の鏡面加工の技術開発を積み重ね、ナノレベルの表面粗さを連続的に実現する専用装置を開発、長尺フープ状の金属箔の超鏡面加工および量産化に取り組みユーザーニーズに応えられるレベルに到達したことなどが評価された。本研磨技術は、長尺鏡面金属箔をフレキシブルデバイス用支持基板として、印刷技術を用いてロールto ロール方式で電極を形成するなど、安価に大量の電子部品製造が可能になる新手法として期待されている。ディスプレイ分野では本研磨技術を用いてアモルファス金属箔帯に対する鏡面化も実績があり、有機EL 材料としての採用も有望視されているほか、グラフェンを用いた新たなタッチパネルの量産化実現を支援する、グラフェン単層膜の製造用金型としての用途も見込まれている。

 受賞の挨拶に立ったティ・ディ・シー 赤羽優子氏は、「当社は宮城県の研磨屋だが、どんなに小さな依頼でも、他社がやりたがらない難しい精度や形状で困っている顧客のニーズに対し、新たな技術や装置を開発してでも応えてきた。顧客の課題を解決すると同時に技術力を高めてきた。今回の受賞業績も、顧客のこんな仕様のものが欲しいが、やってくれるところがなくて困っている、との声に対して地道に取組みを進めてきた賜物であり、その取組みを評価いただいたことは、とてもうれしい」と述べた。

左から、赤羽氏、大森会長、熊谷副会長


 贈呈式の後はシンポジウムに移行。岩木賞の記念講演として優秀賞に輝いた埼玉工業大学 長谷氏が、特別賞に輝いた川邑研究所 川邑氏が、事業賞に輝いたティ・ディ・シー 赤羽氏が、それぞれ講演を行った後、以下のとおり3件のトライボコーティング技術研究会会員による講演がなされた。

・「水素含有率の異なる DLC コーティング被膜の非鉄金属に対する耐凝着性の評価」川本秀士氏(ナノコート・ティーエス)…a-C:H被膜の粗さを研磨によってta-C被膜相当として評価した結果、ボール、ディスクともにA5052ボールを除いて、比摩耗量はおおむね研磨前の値に比べ研磨後の値の方が小さかった。また、研磨後においてボール、ディスク比摩耗量のトレードオフの傾向は確認されなかった。水素含有率の異なる各DLC被膜のアルミナボールとの摩擦摩耗特性を評価した結果では、アルミナボールの顕著な被膜攻撃性は確認されず、摺動により生じた摩耗粒子が酸化したもの、あるいは摩耗粒子が生じる際に酸化する酸化アルミがアブレシブ性に関係するものと考えられる。また、アルミ材ボールと異なり、顕著な摩耗粉の凝着は確認されなかった。被膜表面粗さを同等にしても、比較的高硬度のアルミナボールを相手材としても、ta-C被膜の比摩耗量はいずれの条件においても小さく、摩擦係数もa-C:H被膜と比較して不利な傾向は確認されなかった。

・「潤滑状態や潤滑剤の化学構造によって異なる DLC コーティング膜の摩擦特性」吉田健太郎氏(神奈川県立産業技術総合研究所)…オレイン酸潤滑下での摩擦係数の経時変化の比較では、ta-C被膜がa-C:H被膜に比べ1/8程度の0.005という摩擦係数を著しく短い安定時間で発現、この違いはトライボ化学反応というDLC膜と潤滑剤中の極性基の化学反応の違いに起因するとした。また、エステル系潤滑剤中の炭素鎖長と分岐の有無の影響では、ta-C被膜同士の摩擦ではC6-C10直鎖、C9分岐、C10分岐の順に摩擦係数が低くなる傾向を示し、a-C:H被膜同士の摩擦ではC6-C10直鎖、C10分岐、C9分岐の順に摩擦係数が低くなる傾向を示し、ta-C被膜がa-C:H被膜に比べて潤滑剤の化学構造や極性が異なるものに対して摩擦係数低減効果を発現しやすい結果となった。さらに、トリメチロールプロパントリオレート(TMPTO)中では、混合潤滑では平滑ta-C被膜がa-C:H被膜に比べ低い摩擦係数を示したが、EHL~流体潤滑ではa-C:H被膜が平滑ta-C被膜よりも低い摩擦係数を示した。

・「超薄型有機電子素子を利用した集積化デバイスの実現とウェアラブルエレクトロニクス応用」福田憲二郎氏(理化学研究所)… 次世代ウェアラブルエレクトロニクスとして、やわらかく、軽く、伸縮自在の超薄型(厚さ2.5μm)有機薄膜太陽電池を紹介した。東レとの共同開発による耐熱・高効率有機太陽電池では、耐熱性と高エネルギー変換効率を両立する新しい半導体ポリマーに加え、超薄型基板材料として表面平坦性と耐熱性に優れた透明ポリイミドを用いることで、ガラス基板に匹敵する高いエネルギー変換効率15%を達成するとともに、100℃の加熱でも素子劣化が無視できるほど小さいという高い耐熱性を実現。ホットメルト手法を用いた衣服への直接貼り付けを可能しており、発電する紳士服「発電スーツ」も開発している。さらに、自律駆動型センサシステムや、超柔軟有機太陽電池と超柔軟有機LEDの無接着剤・超柔軟導電接合技術について紹介した。

第24回シンポジウムのもよう

 

kat 2022年2月28日 (月曜日)
kat

メカニカル・サーフェス・テック2022年2月号 特集「湿式法による表面改質」「表面観察」2/25に発行

3年 3ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2022年2月号 特集「湿式法による表面改質」「表面観察」2/25に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2022年2月号 特集「湿式法による表面改質」、キーテク特集「表面観察」が当社より2月25日に発行される。

 今回の特集「湿式法による表面改質」では、最新のウエットプロセスによるプラスチック基材への表面改質技術、りん酸亜鉛処理の概要と機能・特性、電気ニッケルめっきにより得られる多孔質構造皮膜の特徴など、機能性めっきの適用によるサスティナブル社会への取組みについて紹介する。

 また、キーテク特集「表面観察」では、分光技術を用いた各種装置による最新の計測・分析技術とDLC膜をはじめとする薄膜関連分野における適用について、AFMによる表面改質・薄膜関連の評価事例について紹介する。

特集:湿式法による表面改質

◇ウエットプロセスによるプラスチック基材への表面改質技術・・・関東学院大学 高井 治
◇りん酸塩処理における金属の腐食防止・・・日本パーカライジング 永嶋 康彦
◇電気ニッケルめっきによる多孔質皮膜の形成・・・奥野製薬工業 広岡 あずさ、岩﨑 保紀、片山 順一
◇機能性めっきの適用によるサスティナブル社会への取組み・・・マクダーミッド・パフォーマンス・ソリューションズ・ジャパン 横田 英敏 氏に聞く

キーテク特集:表面観察

◇分光技術を用いた最新の計測・分析技術と薄膜関連分野への適用・・・大塚電子 色川 健太朗 氏に聞く
◇原子間力顕微鏡を用いた表面改質層の評価事例・・・パーク・システムズ・ジャパン 後藤 千絵、金 鍾得

連載

注目技術:切削・熱処理分野の動向と切削油・熱処理油の技術・・・出光興産、パーカー熱処理工業、牧野フライス製作所、三菱マテリアル
トップインタビュー・・・國井 卓人 氏(Rtec-Instruments)

トピックス

ASTEC/SURTECH/nano tech2022などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に
半導体・FPD製造装置の需要予測を公表、2022年に初の4兆円超えへ
令和3年度機械振興賞が決定、表面改質関連でJFEスチールなどの溶接システムなど

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admin 2022年2月22日 (火曜日)
admin

三菱ふそうトラック・バス、コーティングなどでバスにおけるウイルス対策を拡大

3年 3ヶ月 ago
三菱ふそうトラック・バス、コーティングなどでバスにおけるウイルス対策を拡大

 三菱ふそうトラック・バスは、バスにおけるウイルス対策として、バス室内の抗ウイルス剤塗布および抗菌コーティング施工の販売を開始した。また、大型路線バスでの新型コロナウイルス対策として販売中の「ウィンドバイザー」を小型マイクロバス「ローザ」向けにも販売を開始した。抗ウイルス剤塗布・抗菌コーティング施工およびウィンドバイザーは、全国の三菱ふそう販売会社と三菱ふそう地域販売部門にて販売している。

 今回、新たにバス向けに特別仕様での展開を開始した「抗ウイルス・抗菌コーティング : 無光触媒 SKYBE-783」は、コスモ技研( https://www.cosmokk.co.jp )が販売し、ウイルス感染予防対策として、不特定多数の乗客が触れるバス車内のブザーやつり革、手すりなどに塗布するもの。同製品は、バス室内に散布することで、室内の付着ウイルスを15分で99%減少させる効果があるという。一度の噴霧で年単位の効果が持続し、有害物質などの臭いも分解する消臭効果もある。抗ウイルス剤塗布は、大型路線バスをはじめ、大型観光バスや小型マイクロバスにおいて、乗客に安全で安心な移動手段を提供する上で有効だとしている。同製品はふそうブランドのバスを製造する三菱ふそうバス製造の有資格者が施工し、ふそう製バスの新型車やすでに使用されている車両にも対応する。

抗ウイルス・抗菌コーティングのバス室内での散布の様子

 また、大型路線バスにおける新しい生活様式として2020年に販売を開始したウィンドバイザーを小型マイクロバス「ローザ」向けにも特別仕様での販売を開始した。ウィンドバイザーは雨天時の窓開放中に雨水の侵入を防止して車内換気を可能するもので、後付けとして側窓部に装着が可能。窓の前側および後ろ側に装着することで、雨天時でも雨水の室内侵入を防止して10cm窓を開放できる。これにより、車内外に風を通すことで車内のさらなる換気が可能になる。ローザ向けのウィンドバイザーは、ローザ特有の窓の形に合わせた形状となり、両面テープで容易に取り付けが可能となっている。

「ローザ」用ウィンドバイザー

 

admin 2022年2月21日 (月曜日)
admin

三菱マテリアル、スパッタリングターゲット事業から撤退

3年 3ヶ月 ago
三菱マテリアル、スパッタリングターゲット事業から撤退

 三菱マテリアル( https://www.mmc.co.jp/ )は、スパッタリングターゲット事業から撤退すると発表した。

 同社は1983年より、薄膜形成材料の一つであるスパッタリングターゲットの製造・販売を行ってきたが、アジア圏におけるローカルサプライヤーの台頭などにより、近年、競争環境が激化している。こうした中、同社は中期経営戦略における全社方針の一つとして事業ポートフォリオの最適化を掲げ、同事業について将来的な事業環境の改善が見込めないことから撤退することとした。

 対象製品は三田工場で製造するスパッタリングターゲット製品全般。具体的な撤退時期は製品により異なるが、2023年3月から順次製造・販売を停止し、2024年3月までに事業から撤退する予定。

 

admin 2022年2月21日 (月曜日)
admin

エリコンバルザース、ドイツの工具メーカーとCFRP向けダイヤモンドコーティング開発

3年 4ヶ月 ago
エリコンバルザース、ドイツの工具メーカーとCFRP向けダイヤモンドコーティング開発

 エリコンバルザース(本社:リヒテンシュタイン)は工具メーカーのドイツ・C6 Composite Tooling社と共同で、航空宇宙産業の顧客であるオーストリア・FACC向けにCFRP用工具コーティング「BALDIA COMPOSITE DC」を開発、CVDダイヤモンドコーティングにより複合材部品の複雑な穴あけ工程における工具の使用寿命を3倍に延長し、工具コストを半分にする方法を示した。

エリコンバルザースの「BALDIA COMPOSITE DC」を施した工具

 航空機においては機体軽量化による燃費効率向上のため、CFRPの適用が拡大している。エアバスA350やボーイング787ドリームライナーなどの先進機種では繊維複合材料の割合を30%から50%へ増やしており、その数字は増加し続けている。そのためコスト効率の良いCFRP部品の加工は、現在も今後もFACCのような主要な航空宇宙サプライヤーにとって差し迫る課題となっている。

 航空機の部品を組み立てるためには何十万もの穴あけが必要である。半自動の精密ドリル送り装置の使用や、機体や他の部品に柔軟に対応するCNCマシンや穴あけロボットを使用することで穴あけを効率化している。穴をあけるために、工具で厚さ11mmから25mmの材料をわずか10μmの公差で加工を行う。しかし、難削材であるCFRPを加工するには従来工具では工具寿命が短く、工具交換の手間やコストが嵩むなどの問題を抱えていた。

 C6 Composite Tooling社はこのような工具への課題対応を専門としており、自動車、航空宇宙と鉄道をターゲットに軽量素材に適したソリューションを提供している。FACC向けとして、同社は空気抵抗を低減させ、燃費や排気ガス、騒音を最小化するために、ウィングレットと翼端の延長部へ穴あけ加工をする工具を含む、最適化された加工工程を開発した。

 C6 Composite Tooling社は従来の穴あけ回数(使用寿命80穴)改善を目的として、コーティングパートナーであるエリコンバルザースの協力により工具性能の向上を図ることができたという。両社は、様々な工具基材、工具径、製造状態とプロセスパラメーターをテストし、ダイヤモンドコーティング「BALDIA COMPOSITE DC」に適合させた。複合材料加工用に特別に設計されたナノ結晶CVDコーティングは、非常に高い耐摩耗性を持ち、最適なプロセスの信頼性と最高品質の穴あけを可能にする。

 両社で共同開発した工具は、寿命を3倍以上の250穴に延長し、工具コストを半分以下に削減した。「基材、前処理、コーティングと最適な製品構成を開発するためには、緊密なパートナーシップは必要不可欠だった。このコーティングなしでは費用対効果の高い穴あけプロセスを生み出すことはできなかった」とプロジェクトに関わったC6 Composite Tooling社のテクニカルセールスの責任者であるセバスチャン・ヘルカート氏とエリコンバルザースのダイヤモンドカスタマーサポートの責任者のゲルハルト・ハーゲドーン氏の2人は話している。また、「この工具とコーティングがあれば、半自動ドリル送り装置でもCNCマシンでも、あらゆるアプリケーションに使用できる。もちろん、穴あけ加工アプリケーションの高い費用対効果や、迅速な工具交換などの加工時間にも満足している。これは我々の主な目標の達成に役立っている」とFACCのオートメーション技術者であるアンドレアス・メイヤー氏は話している。

C6 Composite Tooling社とエリコンバルザースでCFRP用穴あけ工具を開発

 エリコングループでは、今回採用に至った「BALDIA COMPOSITE DC」をグローバルで展開しており、日本ではエリコンジャパン バルザース事業本部( https://www.oerlikon.com/balzers/jp/ja/ )が窓口となっている。

admin 2022年2月9日 (水曜日)
admin

大同特殊鋼、省エネ性、IoT機能を強化した多品種小ロット用熱処理炉

3年 4ヶ月 ago
大同特殊鋼、省エネ性、IoT機能を強化した多品種小ロット用熱処理炉

 大同特殊鋼( https://www.daido.co.jp )は、線材コイルや各種冷間鍛造品など多品種小ロット製品の多様な熱処理が可能な「STC炉」の第2世代「プレミアムSTC炉」(写真は第1世代)の販売を開始、宮崎製鋼から初号機を含む2基を受注した。

 プレミアムSTC炉は、精密炉圧制御機能等の複数の新開発機能を搭載することで、標準型STC炉(20t/チャージ)対比で燃料ガスの15%、窒素ガスの30%削減、操業時間の8%短縮を実現するとともに、処理に伴うCO2排出量の11%削減も達成している。

 また、計装システムのフルリニューアルにより専用Wi-Fiによるタブレット監視機能を標準化し、外部ネットワーク接続による遠隔監視機能もオプション設定することでIoT/User eXperience機能を強化している。さらに、熱回収の効率化により火炎温度が上昇することで増加する燃焼排ガス中に含まれるNOX(窒素酸化物)を低減させるNOXバスターTMを装備することで省エネ性と環境性の両立にも成功している。

 

admin 2022年2月9日 (水曜日)
admin

住友ベークライト、めっきとの密着性を高めたフェノール樹脂材料

3年 4ヶ月 ago
住友ベークライト、めっきとの密着性を高めたフェノール樹脂材料

 住友ベークライト( https://www.sumibe.co.jp )は、めっきとの密着性に優れたフェノール樹脂成形材料「SUMIKON®PM-Plamecシリーズ」を開発した。

めっき加工したフェノール樹脂成形材料

 樹脂めっきではエッチング工程中に成形品表面へアンカーを形成させ、物理的に接合することでめっきとの密着性を確保するが、今回開発しためっき専用フェノール樹脂成形材料は、配合設計技術を駆使してアンカー形成に適した処方設計を実施することで、従来のフェノール樹脂成形材料に比べて約5倍の初期のめっき密着性を実現した。

めっき界面写真

 同シリーズは、自動車部品に要求される強度・剛性を備える「高強度」タイプ、高寸法精度を追求した「等方性」タイプ、低比重を狙うことでの「低コスト」タイプといったバリエーションを備えている。また、より高強度で耐衝撃性の高い長繊維熱硬化性樹脂成形材料にもめっき技術の適用を検討しており、ラインアップとして追加する予定。

フェノール樹脂成形材料の特性

 フェノール樹脂成形品とめっきとのマルチマテリアル化を可能とした同品は長期信頼性における品質を確保した上で、これまで樹脂代替が困難であった耐電磁波性や耐ガス透過性が求められる部品の金属代替用の素材として適用範囲の拡大を期待している。また、従来の金属部品から20~60%の「軽量化」が可能となることで、車両航続距離などのエネルギー効率改善を可能とする。 さらに、フェノール樹脂の寸法精度や耐熱・高剛性を活かして、加工工数削減やカラーレス化により低コスト化を図ることができる。

 

admin 2022年2月9日 (水曜日)
admin

新東工業、製造業のデジタル化を支援するIoTサービス

3年 4ヶ月 ago
新東工業、製造業のデジタル化を支援するIoTサービス

 新東工業( https://www.sinto.co.jp )は、製造業のデジタル化を支援するIoTサービス「設備稼働モニタ」の販売を開始する。

 このサービスは、生産設備の稼働状況を「見える化」することに特化したアプリケーション。生産設備の制御装置(PLC)に稼働状況を収集するための機器(データコレクタ)を設置して、常に閲覧したい稼働情報を収集する。これにより、WEBアプリを通じて稼働状況のモニタリングが常に可能となる。

 具体的には、設備の最新データをグラフなどで確認でき、異常発生前にアラームで知らせることができる。また、保守点検のタイミングを通知することにより、計画的な点検に活用することも可能。設備点検や保全作業の際にも、作業手順や対象部品の確認をスムーズに行うことができる。

 さらに、アラームの発生と復旧時間の履歴を把握することで、設備課題の早期発見と対策につなげることができる。また、設備の動作状況を可視化することで稼働率向上に向けた改善活動を進めることができる。加えて、設備のムダな待機時間の削減により、CO2削減やエネルギー削減など現場改善を促進することができる。

 

admin 2022年2月8日 (火曜日)
admin

ASTEC/SURTECH/nano tech2022などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

3年 4ヶ月 ago
ASTEC/SURTECH/nano tech2022などが開催、表面改質や表面試験・評価技術が一堂に

 「ASTEC2022 第17回先端表面技術展・会議」や「SURTECH2022 表面技術要素展」、「nano tech2022国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」など12の展示会が、1月26~28日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開催され、表面改質と表面試験・評価関連で多数の展示がなされた。

開催の様子

 

 前工程・後工程を含む表面改質関連では、以下のような出展が見られた。

 奥野製薬工業(https://www.okuno.co.jp/)は、アルミニウム用 高絶縁・高耐食性コーティング「Protector HB-LTC2」を紹介した。アルミニウム上に5μm程度の透明皮膜を低温硬化(100℃、20分)で形成可能で、素材の輝きを保ちつつ高級感を実現する。添加剤との併用でマットな質感に変化させることも可能。さらに、顔料による着色が可能で、基本色3色を組み合わせて多彩な色調を創出できる。この皮膜は、耐光性・耐水性に優れることから、外装・屋外向け用途に最適。低温硬化のため陽極酸化皮膜への処理が可能で、陽極酸化皮膜処理単独に比べて、極めて高い耐食性を付与できる。

奥野製薬工業 Protector HB-LTC2の処理サンプル

 

 東ソー(https://www.tosoh.co.jp/)は、めっき処理、プリント基板加工等で排出される産業排水中の重金属除去が可能な排水用重金属処理剤「TXシリーズ」を紹介した。汎用:TX-20、高機能:TX-55、ニッケル排水処理専用:TX-55Nと、三つのグレードをラインナップ。従来剤と比較し、硫化水素や二硫化炭素といった有害ガスがほとんど発生しないため、屋内での取り扱いも容易で、安全な作業環境保持に貢献する。すでに、めっき処理会社などでの導入実績・知見が多い。

東ソー TX-55

 

 ナノテック(https://www.nanotec-jp.com/)は、ユーザーの用途に合わせた膜設計から、専用の成膜条件作成による試作、高度・密着力など試作膜の評価、製品化・量産化への対応までをサポートする「コーティング開発試作ビジネス」をアピールした。開発試作のサンプルとして、意匠性の高いチタン(Ti)やクロム(Cr)などの金属膜を施した化粧品用などの樹脂ボトルや、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを施したオートバイ用フロントフォークなどを展示した。また研究開発向けに、HiPIMS法やイオン化蒸着法、ダイレクト型プラズマCVD法、DC・RFスパッタリング法など様々な成膜方式が可能なDLC成膜実験機の最新モデル「ICF-330」を紹介した。

ナノテック コーティング開発試作サンプル

 

 日本パーカライジング(https://www.parker.co.jp/)は、DLC相当の性能を軟窒化で実現する特殊窒化処理「SuperiorNite(スペリオルナイト)」を紹介した。表面に酸化層を持ち、その下層に窒素化合物層、窒素拡散層を有するため、DLCを凌ぐ優れた耐焼付き性を実現するほか、摺動熱による浸炭層の軟化を抑制。900HV程度の適度な硬さを有し、処理により基材表面の粗さが大きく変化しない。すでに量産体制を構築しており、DLC代替処理として低コスト化への貢献が可能。

日本パーカライジング SuperiorNite処理のサンプル

 

 また、表面試験・評価関連では、以下のような出展があった。

 Rtec-Instruments(https://rtec-instruments.com/?lang=ja)は、多機能摩擦試験機「MFT-5000」を展示した。摩擦試験では、試験前後のサンプルの正確な深さ、粗さの変化、実際の接触範囲を測定するため、顕微鏡での詳細な観察が重要になる。MFT-5000では、摩擦試験と顕微鏡観察を1台で行うことができるため、サンプル交換の簡略化のほか、摩耗の経時変化による評価など、高いレベルでの表面形状解析に貢献できる。そのほか、一つのプラットフォームでスクラッチ試験、インデンテーション試験、3Dプロファイラー、膜厚測定といった複数の試験が可能な新開発の表面材料試験機「SMT-5000」を紹介した。

Rtec-Instruments MFT-5000

 

 アントンパール・ジャパン(https://www.anton-paar.com/jp-jp/)は、コンパクトナノインデンター「Hit300」を展示した。アクティブな防振ダンピングと独自の2レーザーターゲティングシステムにより1nm以内の精度を実現しつつ、幅269㎜×奥行259㎜×高さ420㎜のコンパクトサイズと低価格を実現。直感的なユーザーインターフェースによって、試料の硬さ・弾性率を手軽に求めたい、多点測定を自動で行いたいなどのニーズに手軽に対応できる。自動化により600測定/時間の連続測定が可能。

アントンパール・ジャパン Hit300

 

 大塚電子(https://www.otsukael.jp/)は、ゼータ電位・粒子径・分子量測定システム「ELSZneo」を紹介した。ELSZseriesの最上位機種で、希薄溶液~濃厚溶液でのゼータ電位・粒子径測定に加え、分子量測定を可能にしている。新しい機能として、粒度分布の分離能を向上させるため多角度測定を採用。また、粒子濃度測定やマイクロレオロジー測定、ゲルの網目構造解析も可能にした。新しくなったゼータ電位平板セルユニットは、新開発した高塩濃度対応コーティングにより、生理食塩水などの高塩濃度環境下での測定が可能。

大塚電子 ELSZneo

 

 新東科学(http://www.heidon.co.jp/)は、触感計「TYPE: 33」を展示した。これまで官能評価の数値化へと定量化することが困難だった、肌触りや感触、なじみ感を数値化できる。三つのストレイン・ゲージを用いてX、Y、Z方向の抵抗力を検出。試料テーブルの上にサンプルを載せて指などでなぞるだけで操作でき、簡単に測定が行える。また、ハンディプローブを使用することで、試料テーブルの上に載せることができないサンプルも測定できる。そのほか、荷重変動型摩擦摩耗試験システム「HHS2000S」や摩擦摩耗試験機「TYPE:40」、ポータブル摩擦計「3Dミューズ」を紹介した。

新東科学 TYPE: 33

 

 東陽テクニカ(https://www.toyo.co.jp/microscopy/)は、KLA 社製の超高分解能 薄膜機械的特性評価装置「iNano」を紹介した。極低荷重を高精度かつ安定に発生させる分解能3nNのInForce50型超高分解能押込みヘッドを搭載、ナノメートルオーダーの薄膜や樹脂などのソフトマターの薄膜の硬度・ヤング率を測定できる。さらに、動的押込み試験(連続剛性測定法:CSR)による硬度・ヤング率の深さプロファイル測定やナノスケールの動的粘弾性測定、硬度・ヤング率の三次元イメージングなど、多機能な薄膜機械特性評価が可能。

東陽テクニカ iNano

 

 日本電子(https://www.jeol.co.jp/)は、卓上走査電子顕微鏡(卓上SEM)「JCM-7000 NeoScope™」を紹介した。“誰でもSEM/エネルギー分散型X線分析(EDS)を操作できる”がコンセプトの卓上SEMで、光学像を拡大すればSEM像が観察できる「Zeromag」、分析装置を立ち上げなくても観察中の視野の元素が分かる「Live Analysis」、SEM観察中に三次元観察が可能な「Live 3D」等の機能を搭載した。光学顕微鏡の隣に1台置くことで、異物分析や品質管理をよりスピーディーに、より詳細に実施できる。

日本電子 JCM-7000 NeoScope™


 パーク・システムズ・ジャパン(https://www.parksystems.co.jp/)は、人工知能(AI)を搭載した次世代自動原子間力顕微鏡(AFM)「Park FX40」を展示した。ロボティクスと機械学習機能、安全機能、特殊なアドオンとソフトウェアを搭載。プローブ交換、プローブ識別、レーザーアライメント、サンプルの位置調整、サンプルへのチップアプローチ、イメージングの最適化など、スキャンにおけるパラメーターおよび事前準備に関わるすべての設定を自動で行える。機械学習の積み重ねでAIによる自動機能の適正化、スキャン前の煩わしい準備の自動化、複数のポイントを目的に応じて自動測定など、自動化AFMの実現によるユーザーの利便性とパフォーマンスを向上させた。

パーク・システムズ・ジャパン Park FX40

 

 フィッシャー・インストルメンツ(https://www.helmutfischer.jp/)は、微小硬さ試験機(インデンテーションテスター)「FISCHERSCOPE® HM2000」を展示した。DIN EN ISO 14577規格による微小硬さ(HMマルテンス硬さ)ならびに弾性係数の精密測定が行うことができるインデンテーションテスターで、サンプルの位置決めにはプログラミングが可能なXYステージを搭載。圧子はビッカース、ベルコビッチまたはハードメタル球を使用できる。膜厚1μm以上のPVD・CVDドライコーティングや窒化・浸炭などの表面改質層の評価に適用できる。

フィッシャー・インストルメンツ FISCHERSCOPE HM2000

 

 リガク(https://japan.rigaku.com/)は、反射型X線回折装置用の「全固体電池用充放電セル」を展示した。全固体電池正極材の充放電過程の評価はこれまで、電池セルを解体して 行うex situ測定が中心だったが、この反射X線回折用のin situセルを用いることにより、充放電状態を保ったままでのX線回折測定が可能となる。また、透過型X線回折装置用のラミネートセルアタッチメントヘッドを紹介した。

リガク 全固体電池用充放電セル

 

 レスカ(https://www.rhesca.co.jp/)は、新規提案予定の「DLC膜の信頼性および特性試験に関する国際標準化:DLC膜のはく離耐荷重能試験(密着性・疲労摩耗)」に向け開発した、摺動型はく離強度試験機「OST3000」を披露した。DLCを中心とした硬質被膜の界面強度評価法として注目される、荷重増加型摺動試験を行う専用機として開発。耐荷重能測定や、従来の摩耗試験の効率化が可能。測定中に圧子と試料の双方を自動撮影することにより、荷重ごとの変位を画像で確認できる。

レスカ OST3000

 

 会期中は潤滑通信社(https://www.juntsu.co.jp/)の企画によるトライボロジーコーナーが設けられ、Rtec-Instruments、アントンパール・ジャパン、エリオニクス、三洋貿易、島貿易、新東科学、東陽テクニカ、パーカー熱処理工業、日本サーマル・コンサルティングといった、トライボロジー特性の評価・計測に関わる企業の技術・製品がパネル展示された。また、28日には潤滑通信社の企画で東京理科大学・佐々木信也教授によるトライボロジーセミナー「脱炭素化時代に貢献するトライボロジー技術と試験・評価技術」が行われた。講演では、持続的発展可能な社会構築のためのカーボンニュートラル・脱炭素化社会の実現に向けて、トライボロジー技術が果たす役割(省エネの深堀りと高付加価値化)や、脱炭素化時代に求められるトライボロジー試験・評価技術について解説。データの汎用性と信頼性の点からは、試験手順の標準化がなされたOptimol Instruments Prüftechnik(日本総代理店:パーカー熱処理工業)の「振動摩擦摩耗試験機(SRV)」のようなデファクトスタンダード試験機を、点のデータから面・空間のデータへといったDXのためのデジタイゼーションでは、Rtec-Instrumentsの多機能摩擦試験機「MFT-5000」のような連続した測定条件下でのデータ取得が可能な装置を、感性価値の定量化では、新東科学の触感計「TYPE: 33」やPCS Instruments(日本総代理店:島貿易)の「MTMトラクション試験機」といった官能評価との高い相関が得られる装置などを、脱炭素化時代に求められるトライボロジー特性に関する評価・分析装置として紹介した。

トライボロジーセミナーのようす


 

kat 2022年2月1日 (火曜日)
kat

NTN、風力発電装置主軸用DLCコーティング自動調心ころ軸受で新エネ大賞 新エネルギー財団会長賞を受賞

3年 4ヶ月 ago
NTN、風力発電装置主軸用DLCコーティング自動調心ころ軸受で新エネ大賞 新エネルギー財団会長賞を受賞

 NTNは風力発電装置主軸用「DLCコーティング自動調心ころ軸受」で、新エネルギー財団が主催する令和3年度「新エネ大賞」において「新エネルギー財団会長賞」を受賞した。

風力発電装置主軸用「DLC コーティング自動調心ころ軸受」


 同賞は、新エネルギーの導入の促進を図ることを目的に、新エネルギーに関する機器の開発、設備などの導入、普及啓発活動、分散型エネルギーの活用および地域に根ざした導入の取組みなどを表彰するもの。

 風力発電装置の主軸用自動調心ころ軸受にはこれまで、潤滑不足による軌道面ところの金属接触などが原因で軌道面に摩耗が発生し、はく離や割れといった不具合に進展するという課題があった。

 受賞商品は、軸受のころの転動面に耐摩耗性・潤滑性に優れる硬質膜DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを適用することで、軌道面の耐摩耗性を大幅に向上させた。DLC膜は3層構造となっており、風力発電装置の主軸用軸受のような油膜形成が困難な厳しい潤滑条件下でも、密着力の高いDLC膜が継続的に高い性能を発揮し、摩耗の発生を防ぐことで風力発電装置の安定稼働に貢献する。

 また、本商品に適用しているDLCコーティング技術は、風力発電装置のコンパクト化を目的に2017 年に開発した「左右列非対称設計」と組み合わせることも可能。

 今回の受賞は、これらの開発における独創性や、今後継続的に増加する風力発電装置の普及に貢献することなどが評価されたもの。NTNでは、本商品の拡販を通じて再生可能エネルギーの普及に貢献していく考えだ。

kat 2022年1月26日 (水曜日)
kat

村田製作所、めっきの新研究開発棟着工

3年 5ヶ月 ago
村田製作所、めっきの新研究開発棟着工

 村田製作所( https://corporate.murata.com )は、生産子会社の鯖江村田製作所(福井県鯖江市)が新研究開発棟の建設を2022年2月から開始すると発表した。

 今回の新研究開発棟の建設は、電子部品の軽薄短小化などに対応しためっき技術の開発および量産化技術の立ち上げを目的としている。

新研究開発棟の概要
構造・規模:鉄骨造 地上6階、地下1階
延床面積:11322m2
建築面積:1797m2
用途:めっき技術の開発・立ち上げ
竣工:2023年8月(予定)
総投資額:64億円(建物のみ)

 

admin 2022年1月12日 (水曜日)
admin

砥粒加工学会、3/4に先進テクノフェア(ATF2022)をハイブリッド開催

3年 5ヶ月 ago
砥粒加工学会、3/4に先進テクノフェア(ATF2022)をハイブリッド開催

 砥粒加工学会は本年3月4日10:00~17:00に、学術講演会に次ぐ学会員交流の大きなイベントである「先進テクノフェア ATF (Advanced Technology Fair)2022」(https://www.jsat.or.jp/node/1261)をハイブリッド開催する(新型コロナウイルス感染症の状況により、完全オンライン開催に変更する場合もあり)。リアル開催は大田区産業プラザPiOを会場として、「ATF講演会」、「卒業研究発表会」、「砥粒加工学会推薦企業:リクルートフェア」の開催を予定。今回の講演会テーマは、「今、日本のものづくりに必要なことを語る~将来展望と最新技術~」としている。

 

 デジタルトランスフォーメーション技術の普及や少子高齢化社会の到来、省人・無人化、ひいては脱炭素に象徴される社会構造の変化やコロナ渦に伴う価値観の変化などに起因して、ものづくりは大きな変革点を迎えているといえる。

 そこで本講演会は、ものづくりの将来展望について大いに議論する機会とすべく企画。日本のものづくり産業全体を通した将来像、その中での今後の砥粒加工技術の見通し、そして将来の製造現場で必ずやキーテクノロジーとなると目されるトピックについて、それぞれの分野の第一人者から講演がなされる。

 行事内容は以下のとおり。

1) ATF 講演会(10:00~): 「今,日本のものづくりに必要なことを語る~将来展望と最新技術~」 
「コロナ後の日本のものづくり~独自技術で耐える~」橋本久義氏(政策研究大学院大学)
「砥粒加工の将来展望」向井良平氏(三井精機工業)
「研削加工の技能継承を達成するソフトウェアの提案とその開発」村瀬信義氏(ナガセインテグレックス
「FA-IT 統合ソリューションによる工作機械デジタルツインの実現」藤田智哉氏(三菱電機)
「次世代デジタルファクトリーを実現したDX・デジタルツイン技術」角淵弘一氏(オフィスエフエイ・コム)

2)砥粒加工学会推薦企業:リクルートフェア(10:00~): ものづくりに興味のある学生とものづくりに関わる企業をマッチングする企画

3)卒業研究発表会(13:00~):大学・高専における卒業研究をポスター展示+オンラインでのショートプレゼン形式で発表、講演会参加者も随時参加可能

4)技術交流会(今後の感染症流行状況をみて、後日、開催するかを判断)

講演会 参加費:

会員:事前申込 12,000円、当日申込 20,000円

非会員:事前申込 20,000円 当日申込 20,000円

学生会員:無料

学生非会員:6,000円

定員: 250名
*PiOでの対面聴講の定員は80名

申込方法:砥粒加工学会WEB サイトより登録できる

https://www.jsat.or.jp/ATF2022_Kouenkai220304

参加申込締切:2022 年 2 月 10 日(金)

申込・問合先:(公社)砥粒加工学会 事務局
〒169-0073 東京都新宿区百人町2-22-17 セラミックスビル4F
TEL 03-3362-4195 FAX 03-3368-0902
E-mail staff@jsat.or.jp
 

kat 2022年1月7日 (金曜日)
kat

メカニカル・サーフェス・テック2021年12月号 特集「DLCコーティングおよび試験・評価の最新動向」12/24に発行

3年 5ヶ月 ago
メカニカル・サーフェス・テック2021年12月号 特集「DLCコーティングおよび試験・評価の最新動向」12/24に発行

 表面改質&表面試験・評価技術の情報誌「メカニカル・サーフェス・テック」の2021年12月号 特集「DLCコーティングおよび試験・評価の最新動向」が当社より12月24日に発行される。

 今回の特集では、DLCの国際標準化の現状とその普及について、公設試によるDLCラウンドロビンテストにおいて行われたGD-OESによるH量の評価について、ビール用PETボトル向けDLCコーティングの開発経緯と被膜の特徴について、水素含有率の異なるDLCコーティング被膜のアルミ材に対する摺動性・凝着性の評価について、ドロップレットの少ない被膜を形成するフィルタード真空アーク蒸着法と同法によるDLC膜の耐摩耗性について、穴の内面への成膜や高速かつ高品質なDLC成膜を実現するMVP法搭載の成膜装置について紹介する。

特集:DLCコーティングおよび試験・評価の最新動向

◇DLC膜の国際標準化とその普及・・・DLC工業会 平塚 傑工
◇公設試によるDLCラウンドロビンテスト-GD-OESによるH量評価-・・・岡山県工業技術センター 國次 真輔
◇ビール用PETボトルにおけるDLC成膜技術と適用展開・・・キリンホールディングス 木下 悟 氏、松井 知彰 氏に聞く
◇水素含有率の異なるDLCコーティング被膜のアルミ材に対する摺動性、凝着性の評価・・・ナノコート・ティーエス 川本 秀士、坂下 武雄、熊谷 泰
◇フィルタード真空アーク蒸着法を用いたDLC膜の開発・・・日本アイ・ティ・エフ 大城 竹彦
◇内面への成膜など新機能を搭載したDLC成膜装置の開発・・・不二越 高井 健志

連載

トップインタビュー・・・ガスタイガー マリカ ナタリ 氏(アントンパール・ジャパン)
Featured Events:・・・日本表面真空学会、第22回真空に関する国際会議(IVC-22)札幌への協賛募集を開始

トピックス

第14回岩木賞に、埼玉工業大学 長谷亜蘭氏、川邑研究所 川邑正広氏・JAXA 松本康司氏、ティ・ディ・シーが受賞
サーフテクノロジー、独自微粒子投射技術で新型コロナウイルス不活性化を確認
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admin 2021年12月22日 (水曜日)
admin

第24回「トライボコーティングの現状と将来」シンポジウム、2022年2月25日にハイブリッド開催、第14回 岩木賞贈呈式も実施

3年 5ヶ月 ago
第24回「トライボコーティングの現状と将来」シンポジウム、2022年2月25日にハイブリッド開催、第14回 岩木賞贈呈式も実施

 トライボコーティング技術研究会と理化学研究所は2022年2月25日に、「第24回『トライボコーティングの現状と将来』シンポジウム-摩擦界面の解析と固体潤滑、DLCコーティングの最前線、薄膜研磨・デバイス開発-」を開催する。今回はリアル開催のほかウェブ会議システムを利用した参加も可能な「ハイブリッド開催」となっている。当日は「第14回岩木トライボコーティングネットワークアワード(岩木賞)」の受賞記念講演を行うほか、同賞の贈呈式を実施する。

 岩木賞は表面改質、トライボコーティング分野で多大な業績を上げた故・岩木正哉博士(理化学研究所元主任研究員、トライボコーティング技術研究会前会長)の偉業を讃えて、当該技術分野と関連分野での著しい業績を顕彰するもの。トライボコーティング技術研究会が提唱して2008年度に創設、未来生産システム学協会(FPS)が表彰事業を行っている。

 今回第14回目となる岩木賞の受賞業績 として、優秀賞に輝いた「摩擦界面in situ観察・AEセンシング研究によるトライボロジー現象の可視化・診断の基盤構築」長谷亜蘭氏(埼玉工業大学)、特別賞に輝いた「宇宙探査における次世代型サンプルリターン用固体被膜潤滑剤の開発」川邑正広氏(川邑研究所)・松本康司氏(宇宙航空研究開発機構)、事業賞に輝いた「金属箔(長尺フープ状)研磨技術の開発」赤羽優子氏(ティ・ディ・シー)がそれぞれ講演を行う。

 岩木賞受賞記念講演に続いては、「水素含有率の異なるDLCコーティング被膜の非鉄金属に対する耐凝着性の評価」川本秀士氏(ナノコート・ティーエス)、「潤滑状態や潤滑剤の化学構造によって異なる DLC コーティング膜の摩擦特性」吉田健太郎氏(神奈川県立産業技術総合研究所)、「超薄型有機電子素子を利用した集積化デバイスの実現とウェアラブルエレクトロニクス応用」福田憲二郎氏(理化学研究所)の3件の会員講演が行われる。

 講演終了後には、交流会も予定されている。

 スケジュールなど詳細は、トライボコーティング技術研究会HP(http://www.tribocoati.st)で確認できる。

 問い合わせ・申し込みは、以下のとおり。
 E-mail tribo@tribocoati.st

 なお、会員講演以降の司会は、声優の明里 瞳さんが務める。

明里 瞳さん


 

kat 2021年12月20日 (月曜日)
kat

ジェイテクト、熱処理・表面改質技術で新会社を設立

3年 5ヶ月 ago
ジェイテクト、熱処理・表面改質技術で新会社を設立

 ジェイテクトは、子会社の光洋熱処理とヤマト精工を合併し、2022 年4 月1 日付(予定)で、多彩な熱処理・表面改質技術によって顧客の困りごとを解決する新会社「株式会社ジェイテクトサープレット」を設立する。本社所在地は大阪府八尾市。

 社会のニーズが変化する中、ロボット・半導体製造装置の生産量は拡大し、これらの装置に使用される軸受の需要増加が見込まれている。こうした環境変化の中、ジェイテクトでは、産業機械向けの軸受部品を生産するヤマト精工と業界トップクラスの連続光輝熱処理での生産性を誇る光洋熱処理を統合し、新会社を設立。両社が行っている軸受生産の前工程や熱処理技術のシナジーを活かし、熱処理および表面改質での高精度技術を実現し、顧客の困りごとをともに解決することで社会に貢献していく。

 新会社では、旋削・熱処理・研磨の一貫加工においてこれまでジェイテクト軸受事業で培った技術の強みを活かし、技術、品質、コストの競争力を向上させ、ジェイテクトグループ以外への拡販を進めていく。再生可能エネルギーの活用と設備の高効率化などの改善を一体となって進め、CO2排出量削減およびカーボンニュートラルへの貢献も加速させ、社会の発展にも一層寄与していく

 新会社のジェイテクトサープレット(英文名:JTEKT SURPRET Co., Ltd.)は、表面改質のSurface、熱処理のThermo、精密を意味するPrecisionとTechnologyを掛け合わせ、より付加価値の高い技術と製品で社会に貢献することを目指して命名された。

 

合併する子会社2社の概要

 

kat 2021年12月20日 (月曜日)
kat

トライボコーティング技術研究会、令和3年度第3回研究会を開催

3年 6ヶ月 ago
トライボコーティング技術研究会、令和3年度第3回研究会を開催

 トライボコーティング技術研究会(会長:大森 整・理化学研究所 主任研究員)は12月10日、東京都江東区青海の東京都立産業技術研究センター(都産技研)で、「令和3年度第3回研究会」を開催した。
 

研究会のようす

 

 当日は、大森会長から第14回岩木賞で埼玉工業大学 長谷亜蘭氏、川邑研究所 川邑正広氏・JAXA 松本康司氏、ティ・ディ・シーが受賞した旨の説明がなされたほか、令和3年度 第4回研究会となる来年2月25日開催のトライボシンポジウム 第24回「トライボコーティングの現状と将来」についての告知がなされた。

 続いて、以下のとおり講演が行われた。

・「特殊環境下における超低摩擦化現象に関する研究」川口雅弘氏、齋藤庸賀氏(都産技研)…本講演で説明された「超低摩擦」とは、乾燥摩擦、境界潤滑領域を対象とし、摩擦係数0.01を下回る現象、つまり固体接触が支配的な摺動界面であるにもかかわらず摩擦係数が0.01を下回る現象をさす。DLC膜による超低摩擦研究の動向としてA.Erdemirらの取組み(摩擦係数~0.001)やメカニズムの一例などを紹介。続いて、講演者らのDLC膜による超低摩擦研究テーマである、負加荷重63.7Nで摩擦係数0.001以下という「FFO(Friction Fade Out)現象」について、トライボフィルムの観察と分析による生成メカニズムの解明やFFO現象の発現条件の精査による発現メカニズム解明に向けた取組みを、摺動界面の観察事例をまじえて紹介した。総括として、①摩擦材にDLC膜を使用する必要があり、ZrO2/DLCの摺動やN2+H2雰囲気、エタノール水の導入といった特殊な環境下でFFOが発現すること、②トライボフィルム生成過程とFFO発現過程、③トライボフィルムは導入したエタノールが主原料であること、④FFO発現中においてトライボフィルムが気化している可能性(仮説:FFO発現時の静圧軸受モデル)を確認した。

・「ヘルスケア産業支援の対象となるトライボロジーと計測機器」柚木俊二氏(都産技研)…都産技研が支援に力を入れるヘルスケア(人の健康・管理・増進)としては、体に触れて機能を発揮する化粧品・医薬部外品や健康用・医療用雑貨、医療機器、再生医療等製品が挙げられる。本講演では、褥瘡へのずり応力を滑りシートで低減する試みとして、臀部を模して開発したバイオスキンと創傷被覆材、滑りシート(TASS)を組み合わせて、TASSによる褥瘡内部ずり応力低減効果を評価するためのトライボロジー試験を行った結果を報告。TASSによる褥瘡内部のずり応力低減効果と臨床成績の対比を示した。一方、肌にクリームを塗り込む現象は、塗り始めは指・手のひらと肌との間のずりに対してクリームが示す応力(レオロジー)が、塗り込む際にはレオロジーとトライボロジーが、最後にはクリームの塗膜を介した摩擦力(トライボロジー)が関連すると考えられる。都産技研では、乾燥肌用の保湿クリームを塗りこんだ時のレオロジー・トライボロジー測定を実施。摩擦係数と使用感の比較、粘度と使用感の比較、貯蔵弾性率(G’)と使用感の比較を示した。

 講演終了後は、都産技研 ヘルスケア産業支援室の見学会が行われた。
 

見学会のようす


 

kat 2021年12月13日 (月曜日)
kat
Checked
34 分 40 秒 ago
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