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NTN、車輪回転センサ用高磁力ゴムエンコーダを開発

 NTN(Tel.0538-21-1150、 http://www.ntn.co.jp )は、車輪用軸受(ハブベアリング)に装着するABSセンサ用の「車輪回転センサ用 高磁力ゴムエンコーダ」を開発した。信頼性と安定性を高め、安全走行制御の高度化に貢献、ゴム製エンコーダとしては世界最高水準の性能を達成。

 多くの自動車の車輪用軸受にはABS センサと呼ばれる車輪回転センサが装着され、ABS センサは磁気検出センサとリング状の磁石である磁気エンコーダで構成されている。車輪用軸受に内蔵された磁気エンコーダはタイヤと共に回転し、生じる磁極の変化を磁気センサが感知することで車輪速度を検出する。従来から多用されているゴム材料を使った磁気エンコーダは、フェライト粒子とゴム材を混ぜ合わせ、加熱成形している。このフェライト粒子の磁力の大きさはその向きで違うため、成形前にフェライト粒子の向きを揃えていた。しかし成形時の材料の流れで、揃えた向きが乱れてしまい磁力を大きくできないことが従来からの課題だった。

 車輪回転センサ用高磁力ゴムエンコーダでは、ゴム材中のフェライト粒子の向きを最適な方向に揃えること(配向)で磁気エンコーダの磁力を強くしたほか、加熱成形の際、成形型全体に磁力を与え、ゴムが固まる前の段階でフェライト粒子を磁力の方向に揃える新たなゴム成形法も開発した。さらに、ゴム材料の配合を工夫することでより多くのフェライト粒子を混ぜ込むことを可能とし、従来品と比較して25%の磁力の向上を達成した。これらにより、センサ取付時の位置精度の緩和や、従来品より小型のエンコーダで同等の出力を出すことが可能となった。また、市場実績が豊富で柔軟性に優れたゴム材料を適用することで、軸受への装着時や車両運転時、過酷な環境温度変化(冷熱衝撃)などで発生するさまざまなエンコーダへの衝撃リスクから欠け・割れなどの損傷を回避できる。

 NTNでは、このエンコーダを装着した自動車用ハブベアリングとして、2012年にグローバルで年50 億円の販売を目指す。

※ABS:アンチロック・ブレーキ・システム