日本精工(NSK、Tel.03-3779-7050、 http://www.jp.nsk.com )は独自の圧電アクチュエータを採用し、医療・バイオなどの業界向けの細胞操作や微小部品の組立てなどを容易な操作で行う「マニピュレーションシステム」を開発した。
開発品は、微細作業のためのマイクロツールが装着可能な三次元(XYZ)テーブルと顕微鏡などから構成され、細胞などの微小な試料を操作するもの。開発品は、NSKが2005年に開発した超微細位置決め装置「ナノポジショナー」の技術を応用、回転モータの駆動と圧電素子の駆動により、マイクロツールに広い動作範囲を持たせながら、なおかつ微細に操作できる。また、最新の画像処理技術を組み合わせることで、微細で高精度な操作が要求される作業の精度と操作性を向上させるとともに、作業者への負担を軽減する操作を実現している。NSKは、同システムの主要用途である細胞マニピュレーションシステムの評価試験を麻布大学獣医学部の柏崎直巳教授と共同で進めている。
開発品では、独自の「ナノポジショナー」の技術を用い、回転モータとボールねじによりマイクロツールの容易でかつ高精度なセッティングと粗動駆動を実現し、圧電素子駆動では微細駆動を可能にする。また従来、巧みな熟練操作を必要としていた操作対象のセッティング作業や細胞操作をボタンひとつで容易に行えるよう自動化した。従来のマニピュレータでは、顕微授精操作をする際にマイクロツール内に有害な水銀を封入し、圧電素子を駆動することにより操作していたが、開発品では水銀を使用しなくても有効な作業が可能で、環境負荷を低減する。