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フェローテックマテリアルテクノロジーズが発足、セラミックス技術+成膜技術でシナジー効果創出へ

 フェローテックホールディングス(https://www.ferrotec.co.jp/)100%子会社であるフェローテックセラミックス(FTC)は本年1月1日付けで、同じく100%子会社であるアドマップ(ADMAP)を吸収合併して「株式会社フェローテックマテリアルテクノロジーズ」に商号変更した。合併によって、セラミックス事業を行う FTCとCVD-SiC事業を行う ADMAPの両社の技術力と経営資源を最大限に活かし、顧客ニーズへの対応力および製品開発力の強化を図り、セラミックス事業およびCVD-SiC事業の発展・成長を促進する狙いだ。

 ここでは、昨年12月11日~13日に開催された「SEMICON Japan 2019」で展示されたFTCの二つのキーマテリアル、ファインセラミックスとマシナブルセラミックスの新技術とADMAPのCVD-SiC技術について紹介するとともに、新会社フェローテックマテリアルテクノロジーズにおける両社のシナジー効果について紹介する。

「SEMICON Japan 2019」のフェローテックブースのようす
「SEMICON Japan 2019」のフェローテックブースのようす

 

 FTCは、高純度で優れた特性を備えたファインセラミックスと、精密・微細加工が容易であるマシナブルセラミックスを関西工場と石川工場で製造。近年は石川県に開発センターを設立し、新市場開拓に向けた製品開発を推進している。

 ファインセラミックスはその用途の7割が半導体製造プロセス向けで、同プロセスで要求される高純度・高剛性・高精度に加えて、耐摩耗・耐熱・耐薬品性を有する。特に純度99.7%のアルミナ「AS997QⅡ」はマイクロ波透過性が良好なことから、半導体製造プロセスにおけるプラズマ処理装置のチャンバー内部品に用いられるほか、純度99.9%の高純度アルミナ「AS999」は高純度が求められるウェハ搬送用部品などに用いられている。一方、ヒートショック性に優れる(ΔT(℃):700)窒化ケイ素は、機械部品や摺動部品、耐熱部品などに用いられている。そのほか、高い熱伝導性を持つ窒化アルミは絶縁部品などに用いられる。

 一方、マシナブルセラミックスは機械加工が容易に行えるセラミックスで、高精度・高品質の製品を短納期に提供できるのが特徴である。ガラス質をマトリックスとし、フッ素金雲母を均一に析出させた緻密な複合マイカセラミックス「ホトベール」で、電気絶縁性、耐熱性を持ち、絶縁部品や断熱部品などに用いられている。今回フェローテックブースでは、小型旋盤によるホトベールの快削性を示した。

小型旋盤を用いたホトベールの快削性のデモンストレーション
小型旋盤を用いたホトベールの快削性のデモンストレーション

 

 特に半導体製造プロセスでは、機械的強度にも優れるマシナブルセラミックス「ホトベールⅡ」が、検査装置の部品(プローバーのガイド)に採用されている。穴径35μmの貫通孔を位置精度高く形成することが可能であり、角穴形状の高精度加工技術も確立している。一方、次世代プローバー向けハウジングでは熱膨張への対応が求められるが、製造プロセスを調整することなどでバリアブルに熱膨張率を調整することができるという。

ホトベールⅡのアプリケーション例
ホトベールⅡのアプリケーション例

 

 一方、独自のCVD(化学蒸着法)で製作されたアドマップのSiC(炭化ケイ素)製品は、超高純度・高耐食性・高耐酸化性・高耐熱性・高耐摩耗性の特性を備えており、あらゆるフィールドで使用されている。同社のCVD-SiC技術としては大別して、コーティング技術と膜単体製造技術がある。

 前者では、等方性高純度黒鉛および各種焼結SiC基材に、高純度で均質性に優れたコーティングを提供。半導体をはじめ、産業機械、原子力、航空宇宙分野での高い評価を得ている。後者では、コーティング技術を応用し、緻密なSiC膜のみで構成された製品を提供。平板をはじめ、複雑形状まで幅広く適応可能で、半導体製造装置を中心に、超高温やプラズマの厳しい環境下での数多くの実績がある。コーティング技術のアプリケーションとしてはたとえば半導体製造装置用チューブ・ボートなどが、膜単体製造技術のアプリケーションとしてはSiCダミーウェハなどがある。

CVD-SiC技術のアプリケーション例
CVD-SiC技術のアプリケーション例

 

 上述のような独自技術を有する両社の合併によるシナジー効果について、フェローテックマテリアルテクノロジーズ 営業本部 営業一部 担当部長(元アドマップ営業部長)の斯波大二氏は、「我々のCVD-SiCは成膜速度が速いため、通常は密着性が低下するような、数ppmの不純物が入っている一般的な常圧焼結のセラミックス材料表面を高純度で均質なSiC膜で高密着にコーティングでき、ppbオーダーにパーティクル、不純物を抑制でき、半導体製造プロセスにおいてウェハ回りのコンタミネーションコントロールに一層貢献できる。また、ユーザーの要求によっては、たとえば熱伝導が良好な一方で純度が悪い材料にSiCを成膜することができるようになり、今まで1社では対応できなかった領域を、タッグを組むことで攻略できるようになる。これがシナジー効果の一つと考える。パートナーとなるFTCの扱うセラミックス材料は多種多様で、材料技術と成膜技術という両社の保有技術の組み合わせによるポテンシャルは非常に高いと考える」と語っている。

 また、フェローテックマテリアルテクノロジーズ 営業本部 営業一部 担当部長(元FTC営業部部長)の藤岡秀彰氏は、「FTCでは得意とするファインセラミックスおよびマシナブルセラミックスという材料技術の開発をたゆまず進めているが、高純度化などの問題を抱えている。そうした問題をアドマップが長年CVDで培ってきた豊富なコート技術知見で課題解決につながるものと期待している。一方で、チャンバー内では熱特性、電気特性、耐プラズマ特性など様々な材料特性が要求されるため、このような顧客の要求にも今後対応できたらと考えている」と述べる。

 両社のシナジー効果によって、現在主力の半導体分野での事業の拡大に限らず、医療分野や光学分野、航空機分野、さらには原子力発電分野といった新分野の開拓が見込まれている。斯波氏はさらに、「フェローテックグループとして考えた際、金属・樹脂以外のすべての材料技術、加工技術、成膜技術を保有していることから、フェローテックマテリアルテクノロジーズが窓口となって、多岐にわたるユーザーニーズへのそれぞれの最適解を提示できるようになると期待している」と語っている。

 

◆フェローテックのセラミックス製品をよく知るには

 

◆フェローテックのCVD-SiC製品をよく知るには