フェローテックホールディングス( http://www.ferrotec.co.jp/ )傘下のフェローテック( http://www.ferrotec.jp/ )のコア技術としては、磁石に反応する液体「磁性流体」や、電流によって発熱・吸熱を制御できる「サーモモジュール」、アルミナセラミックス基板に銅版を直接接合、銅回路を形成したパワー半体DCB(Direct Copper Bonding)基板があり、パワー半体DCB基板では今後は、窒化ケイ素や窒化アルミニウムなどの材質でも量産化を目指している。
フェローテックではこうしたコア技術・製品を活用し自動車分野の攻略を進めている。
サーモモジュールによるバッテリークーリング・ヒーティングのイメージ
磁性流体
会社の発祥は1960年代の米国NASAスペース計画の際に「磁性流体」を開発したことに遡る。「宇宙の無重力の状態で、宇宙船内の液体燃料を運ぶにはどうしたらいいか?」その課題解決を目的に磁性流体は開発された。
磁性流体は、流体でありながら外部磁場によって磁性を帯び、磁石に吸い寄せられる機能性材料。基本成分は、磁性微粒子、界面活性剤、キャリアとなるベース液(ベースオイル)で、直径約10nmの極小の酸化鉄粒子が、凝集を防ぐ界面活性剤で被膜され、安定的に分散したコロイド状の液体となっている。
当初目的としたアプリケーションでの採用には至らなかったものの、その後、半導体の真空プロセスにおいて密閉空間を保持する「真空シール」に活用され、半導体の性能向上につながるコンタミネーションコントロールを実現している。「真空シール」は現在、フェローテックの代表的な製品の一つとなっている。
サーモモジュール
サーモモジュール(ペルチェ素子)は、対象物を温めたり冷やしたりする半導体冷熱素子のことで、N型とP型という異なる性質を持った半導体素子を組み合わせたモジュールに、直流の電気を流すと熱が移動し、一方の面が吸熱(冷却)し、反対の面が放熱(加熱)するというペルチェ効果を応用したもの。電源の極性を逆にすると、吸熱と放熱を簡単に切り替えることができる。
こうした特性を活かして、自動車用シートから半導体製造装置、通信、医療バイオ、民生品など、温度調整デバイスとして用途が拡大し続けている。通信では5Gインフラ向けで、バイオではDNA増幅用となどで期待が高まっている。
コア技術・製品を活用した自動車分野の攻略
EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、ADAS(自動運転システム)など変化が目覚ましい自動車業界を攻略する3本の矢として、フェローテックではサーモモジュール、磁性流体、パワー半導体用DCB基板というコア技術・製品の提案を進めている。
サーモモジュールでは、バッテリークーリング・ヒーティング、CMOSイメージセンサークーリングなど、温調用途で導入が期待される。
磁性流体は、振動制御用新磁性流体「MCF(Magnetic Compound Fluid:磁気混合流体)」を使ったアクティブサスペンション、高精度直流センサなどでの適用が見込まれる。
パワー半導体用DCB基板は、ヘッドランプやルームランプ、HEVモーター制御を行うボディーやパワートレイン向けに導入を見込む。
フェローテックでは2018年1月に全社横断型の「オートモーティブプロジェクト」を組織。中国、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、アメリカ、ドイツとグローバルな組織編制とし、今後は人材育成など教育体制も強化しつつ、自動車分野の攻略を強力に進めていく。
コア技術・製品が幅広い車載部品に対応
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