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イグス、ハノーバーメッセ2019で120点のモーション・プラスチック新商品を披露

 イグスは、4月1日~5日にドイツ・ハノーバーで開催された世界最大規模の国際産業見本市である「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)2019」に出展、新開発した120点のモーション・プラスチック商品を発表した。

展示のようす展示のようす

 初日1日には、同社ブースにメルケル首相が訪れ、6軸アームでケーブル組込み型の低コストサービスロボット「ロボリンクReBel」を用いて皿をテーブルに、あるいは食洗器にピック&プレースするデモンストレーションを視察した。

イグスブースを視察するメルケル首相イグスブースを視察するメルケル首相

 また、同日には同社CEOのフランク・ブラーゼ氏が日本人記者団の前で開催の挨拶に立ち、「1986年のJIMTOFで出展したのを機に日本の工作機械をはじめとするユーザーとのコンタクトが始まり、顧客の機械を軽く無潤滑で動かして、長寿命化させコストダウンを実現する“モーション・プラスチック”を提案し始めた。日本は手本となる国でありその品質要求は厳しく、我々にチャレンジングな課題を突き付け、その課題をクリアすべく研鑽された技術によって、今回発表される商品も誕生している。日本は機械産業において重要なポジションを占めており、可動ケーブルやケーブル保護管というエネルギー供給・データ転送のアプリケーションでは採用が進んでいるが、欧州車では1台に必ず数点搭載されているすべり軸受についてはまだ認知度が高くないと感じている。すべり軸受を含む全製品は軽量・無潤滑で高耐久といった特性に加えて、徹底した試験に基づくデータの蓄積によって寿命計算を可能にしている。今回の展示製品・技術を日本の産業界の方々にぜひ知っていただき、こうしたイグス製品の数々のメリットを享受していただきたい」と語った。

フランク・ブラーゼCEOフランク・ブラーゼCEO

ケーブル保護管

 ケーブル保護管「エナジーチェーン」は、クリーン環境や粉じん環境、高荷重用途など様々な条件下にある可動部において、可動ケーブルを支持案内・保護して動力、データ、信号の確実な供給を実現する。今回、以下のような新商品が展示された。

工具不要で開閉できる頑丈なケーブル保護管「エナジーチェーンE4Q」
 本品は、革新的なクロスバー機構によって、両側のロックを解除するだけで、工具を用いることなく手で開閉できる。メンテナンスを容易にし、組立時間を80%短縮できる。工作機械業界からのコストダウン要求に対して、トータルコストダウンの手法として提案。また、半径ストップとエクステンション・ストップでの衝突を低減するダンパー機能によって屈曲時の音を静かにする。さらに、材質・形状の最適化で軽量・高強度を実現、長距離走行やサポートされていないフリースパン走行に適している。

エナジーチェーンE4QエナジーチェーンE4Q

高さ200mmに納まる高屈曲ケーブル保護管「エナジーチェーンe-skin® soft」
 ソフトマターを採用した保護管によって高さ200mmに納まる高屈曲を実現。狭スペースでケーブルを柔軟に取りまわせるため、ユーザーのフレキシブルな機械設計に貢献する。省スペース、クリーンルーム向け可動ケーブルの保護に最適。

エナジーチェーンe-skin® softエナジーチェーンe-skin® soft

可動ケーブル

 可動部での電力供給・データ転送を実現する可動ケーブル「チェーンフレックス」は、業界最大規模2750m2の試験ラボラトリーでの20億サイクル/年の試験評価に基づき、寿命計算が可能な6種の保有材料をベースに、使用条件においてエナジーチェーン内部で最適な性能と寿命を実現できる。今回、以下のような展示があった。

ねじれ±360°/mの耐性と36ヵ月保証の可動ケーブル「チェーンフレックスCFROBOT8.PLUS」
 ねじれ±360°/mの耐性と36ヵ月保証の可動ケーブルを実現。膨大な試験に基づく豊富なデータセットをベースに、ユーザーはオンラインでケーブルの寿命計算を精確に実施でき、使用条件に最適な可動ケーブルを選定できる。

すべり軸受

 材料への固体潤滑の配合によって潤滑油フリー・メンテナンスフリーで使用できるプラスチック・ベアリングとしては、すべり軸受「イグリデュール」、球面ベアリング「イグボール」、リニアガイド「ドライリン」などがあるが、今回は以下のような展示がなされた。

7tの高荷重に耐えるすべり軸受「イグリデュールQ2E」
 プラスチック・ベアリングのメリットとしては、固体潤滑剤の配合によって無潤滑で静水中などでもスムースに動かせ、その異物埋収性からは汚れや土砂に強く、ダンピング特性からは振動の吸収機能を持つ。本品は、外側の硬質ポリマーシェルと、軸と摺動する優れた摩擦摩耗特性を備えたイグリデュールQ2コア材で成形。シェルが高い軸受強度と長寿命を実現し、イグリデュールのコア材が悪環境での潤滑油フリー・メンテナンスフリーを実現する。直径20mmのすべり軸受の場合、高い形状保持性と優れた摩擦摩耗特性で最大7tの荷重に耐える。こうした高荷重用のすべり軸受では従来、すべり軸受の外周に繊維強化複合材を巻き付けることで軸受強度の向上を図っていたが、この製法は高価な材料と時間を要し高コストとなる。これに対し本品は、射出成形が可能なため、コスト効率も高い。建設機械やクレーン、農業機械など高い荷重のかかるアプリケーションに最適。

イグリデュールQ2EイグリデュールQ2E

軽量・省スペースのロータリーテーブルベアリング「イグリデュールPRT-04」
 ロータリーテーブルベアリングはポリマー製すべり軸受用材料で実績のある「イグリデュールJ」を摺動材として採用、メンテナンスフリーで無潤滑で使用できる。新製品は、耐摩耗、潤滑油・メンテナンスフリーといった特徴はそのままに、従来製品に比べ60%軽量化しつつ高さを50%に抑えた。コスト効率と省スペース化を実現している。

イグリデュールPRT-04イグリデュールPRT-04

スマート・プラスチック

 イグスのベアリングやケーブル保護管は前述のとおり25年以上にわたり蓄積してきた寿命試験のデータに基づき寿命計算ができる。そのため、イグス製品をセンサー付きとすることで、使用中の製品の摩耗状態などが把握でき、交換時期を知らせる「スマート・プラスチック」のシステムを構築できる。日本ではまだ工場内にデータをとどめて状態監視を行っている(オフライン)が、ドイツをはじめ欧州では部品の交換時期を知らせるだけでなく、イグスデータセンターとの連携によって交換部品を自動的に手配するシステム(オンライン)も構築されている。スマート・プラスチック関連では今回、以下のような新商品が披露された。

部品交換時期を知らせる、すべり式リニアガイド
 すべり式リニアガイド「ドライリンDLW.W」はスライドエレメントに、「イグリデュールJ200」が使用され、潤滑が不要なため粉塵や湿度に強く、優れた耐摩耗性を示す。使用条件による寿命予測が可能で、今回展示したループセンサー付き商品では、スライドエレメントの摩耗に伴うワイヤーの露出を検知して、交換時期をオペレーターに知らせる機能を搭載。計画的な保全作業を可能にし、予期しない故障を防ぐことができる。

ドライリンDLW.WドライリンDLW.W

3Dプリンティングサービス

 イグスでは今回、独立したブースで3Dプリンティングサービスについて紹介した。同社では先ごろ、新型3Dプリンターの導入によって生産能力を3倍に向上、2018年には自動車やロボット、パッケージ関連向けなどに約10万点の3Dプリント部品を納入している。また、耐熱温度170℃のトライボフィラメント「イグリデュールJ350」用に高温対応型の3Dプリンター(装置内部温度200℃)を自社開発した。これによってベアリングやギヤ、ローラーなどの機械部品に対してオンラインコンフィギュレーターや優れた耐摩耗性を備える3Dプリント部品(たとえばイグリデュールI3で3Dプリンティングしたギヤでは射出成形したポリアセタール(POM)よりも高強度を示す)の提供を可能にしている。3Dプリント成形された部品についても、同社のみ寿命計算が行えるという。

3Dプリンティングされたギヤ部品3Dプリンティングされたギヤ部品

ロボットのユーザーとメーカーを結び付けるオンラインプラットフォーム「RBTX」

 イグスでは電気機械的構造の低コストロボットを提供しているが、さらにユーザーの低コストロボット導入の可能性を拡げるべく、グリップ、カメラ、制御装置などを製造するパートナー企業16社とともに、世界で初めてメーカーとユーザーがオンラインでつながり合えるプラットフォーム「RBTX」のモデルを本展で初披露した。導入を検討しているユーザーはオンライン上で、イグスの各種ロボットに互換性のあるパートナー企業のパーツを自由に組み合わせることができ、低コストの自動化を簡単・迅速に実現できることになる。イグスではさらにパートナー企業を増やしてオンラインプラットフォームを強化していく。参画するロボット部材メーカーにとっては、自社製品の販路拡大につながる。

RBTXRBTX

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