Japan Robot Week 2018開催、ロボットを支える機械要素・表面改質技術が展示
「Japan Robot Week 2018」(主催:日本ロボット工業会、日刊工業新聞社)が10月17日~19日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。人との共同作業で生産効率を高める協働ロボットなどの各種のロボットと、それらの安定・高信頼性の可動を支える機械要素や材料、表面改質などの技術が多数展示された。
不二越( http://www.nachi-fujikoshi.co.jp/ )は、安全性・操作性を向上させ高精度を追求した小型協働ロボット「CZ10」を用いて、自社製ベアリングをAI外観検査撮像装置にセッティングするデモンストレーションを行った。
また、THK( http://www.thk.com/ )のブースでは、ミズノと共同開発した、ロボットが発する熱を排除して稼動効率を向上させるヒューマノイド型サービスロボット用機能性ジャケット「エアリージャケット」を羽織ったロボットが、MPUFのプロデュース、重要無形文化財総合指定保持者の観世流能楽師 勝海登氏の監修のもと、伝統の技と最新のロボットテクノロジーを融合させた能の舞い「三世三界(時と宇宙)の輪『三輪』未知・未体験の世界創造」を演じた。
山形大学ソフトマターロボティクス(Sofumo)コンソーシアム(代表:古川英光教授、 https://www.facebook.com/SoftmatterRobotics/ )はまた、3Dゲルプリンターやソフトセンシング、フレキシブルデバイス、有機材料(ソフトマター)などのコア技術をベースに開発した、重さや硬さ、あたたかさ、静かさ、感触、素材が人間に近いもので構成され環境に適応できるソフトマターロボティクスの事例を紹介した。水圧で駆動するソフト筋肉(3Dプリンターを活用して3D造形された筋肉)を実装を目指した「クラゲ型ロボット」や、伸縮波によって体を自由に変形させながら、古くなった細い配管内や災害地の瓦礫の下の小さな穴の中を移動できる「ミミズ型ロボット」、フレームの人工筋肉が湾曲することで全方向への変形や移動が可能なため、狭いところに入っていくことや仲間の足場になることもできる「自歪走行ロボット」などを披露した。
今回は各種ロボットの新しい要素技術として、以下のような製品・技術が紹介された。
ブリヂストン( https://www.bridgestone.co.jp/ )は、自社開発の空気圧式ゴム人工筋肉「Bridgestone Rubber Actuator」を披露した。ゴムチューブとそれを囲む高強度繊維から構成された、いわゆる「マッキベン型人工筋肉」で、ゴムチューブに空気を送り込んで圧を高めることで径方向に膨張して軸方向に収縮し、空気圧を抜くことで軸方向に伸長するといった具合に、ヒトの筋肉のように伸縮させることができる。チューブはブリヂストンの油圧ホースやタイヤのゴムの技術を、繊維部分はタイヤの内部にある有機繊維コードの技術を応用して開発されたもの。①100g程度の超軽量で70kgfのハイパワーを出せる(従来の電気モーターや油圧シリンダに比べ10倍以上の「力/自重比」)、②従来のアクチュエータにない柔らかな動きと高い耐衝撃性・耐振動性を実現、③適度な遊びがあるために人への負担が少ないゴムゆえの安全性、といった特徴から、協働ロボットのアクチュエータや、パワーアシストスーツ、歩行トレーニング装置など、産業用からヘルスケア用まで幅広い分野での適用拡大を目指す。
ハーモニック・ドライブ・システムズ( https://www.hds.co.jp/ )は、ウェーブ・ジェネレータ、フレクスプライン、サーキュラ・スプラインという三つの基本部品で構成されるため小型・軽量化が可能で大きなトルクを生み出し正確な位置決めが可能なハーモニックドライブ減速機について、従来品と比べ軸方向の長さを半分に短縮した「超扁平ハーモニックドライブ®CSDシリーズ」を披露した。また、指の駆動を軽量・高トルク・少バックラッシの小型ACサーボアクチュエータRSFシリーズ2台で構成し、手首の駆動には小型で中空構造で高出力トルク、高位置決め精度、高ねじり剛性のサーボアクチュエータFHA-C miniシリーズを使用した「ロボットハンド」を参考出品。じゃんけん対決のデモンストレーションを行った。そのほか、いずれも参考出品として、「6軸構成によるロボットアーム」のデモや、「超小型垂直多関節ロボット」のデモ、「超扁平DCサーボアクチュエータ FLAシリーズで構成した歩行支援ロボット」を展示した。
ナノコート・ティーエス( http://www.nanocoat-ts.com/ )は、接点不良が起こりやすいロボットハンドなどの電気接点に関して、耐久性(耐摩耗性)の高いダイヤモンドライクカーボン膜に導電性を付与した「導電性DLC」を紹介。電気接点を構成しつつその耐摩耗性を向上でき、接点不良を防止できることをアピールした。また、複合多層構造による高い密着性によって高面圧でも膜の剥離がない「セルテスDLC」を被覆した、ベアリングボールを展示。半導体製造などのクリーン環境や、潤滑剤が洗い流される食品加工などの水環境でも、ロボットのベアリングを無潤滑で稼働できる可能性を示した。ドロップレットがなく平滑な表面が得られるため、仕上げ研磨などの後加工不要で良好な摺動特性が得られるという。さらに、撥水・撥油性の付与によって金型の離型性の向上や型汚れの低減を実現し金型洗浄などの保守作業を軽減できる窒化物セラミック硬質薄膜「セルテスN-Sコーティング」などを紹介した。