フェローテックホールディングス( http://www.ferrotec.co.jp/ )傘下のフェローテック( http://ferrotec.jp/ )は本年1月、「オートモーティブ プロジェクト」を立ち上げた。すでに自動車用温度調節シート向けで多くの採用実績を持つ「サーモモジュール(ペルチェ素子)」、さらには同社創業の技術であり、車載スピーカーで実績のある「磁性流体」などを中心に、自動車市場の攻略に取り組んでいる。ここでは紙面の関係でサーモモジュールの適用を中心に紹介する。
サーモモジュール(ペルチェ素子)は、対象物を温めたり冷やしたりする半導体冷熱素子のことで、N型とP型という異なる性質を持った半導体素子を組み合わせたモジュールに、直流の電気を流すと熱が移動し、一方の面が吸熱(冷却)し、反対の面が放熱(加熱)するというペルチェ効果を応用したもの。電源の極性を逆にすると、吸熱と放熱を簡単に切り替えることができる。
サーモモジュール
同社のサーモモジュール製品は、売上の30%が自動車向けであり、そのメインが、自動車用温調シート向けである。小型、軽量でフロンを必要とせずに温度制御を行えることから、カップホルダーなどへの検討が自動車メーカーで進んでいるほか、夏場/冬場に熱くなりすぎたり冷たくなりすぎたりしないようサーモモジュールを組み込んだ「温調ステアリング」も、採用が検討されている。
また、ヘッドアップディスプレイ(HUD)において、LED光源に比べ色の再現性など優位性の多い高強度レーザーを照射して走行データをフロントガラスに投影するレーザープロジェクターでは、熱によって色調やコントラストが変わってしまうという問題がある。これに対し、省スペースで温度制御が可能なサーモモジュールの採用によって、レーザー光源の特長を活かした高コントラストでクリアな映像を投影し続けることを可能としている。
電気自動車(EV)などのバッテリーとなるリチウムイオン電池は温度にセンシティブで、高温/低温のいずれでも劣化が促進しやすい。ラジエーターを用いた水冷などの自然冷却では細やかな温度制御ができず、微妙な温度制御が可能なサーモモジュールが有効と見られる。EVでは重量の増加も電力消費の増大につながることから、軽量の温調システムとしてもサーモモジュールが貢献できるという。
自動車での適用事例
このほか、同社創業の技術である磁性流体でも、印加磁場によって磁性粒子の配列を制御し振動をアクティブに抑制する「アクティブダンパー」や、エンジンの振動吸収、さらには車載バッテリーの利用効率向上につながる「高精度直流測定センサ」への応用など、自動車分野での適用拡大が見込まれている。
磁性流体
フェローテックでは、燃費向上につながる自動車の軽量化や、電動化、自動運転化などに取り組む自動車業界に対し、サーモモジュールの適用や磁性流体の新しい適用を提案、採用拡大に向け取組みを強化していく。
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