2017年"超"モノづくり部品大賞 贈賞式、大賞に日本電産シンポ
モノづくり日本会議と日刊工業新聞社は11月17日、東京都渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルで第14回/2017年「"超"モノづくり部品大賞」贈賞式を開催した。「"超"モノづくり部品大賞」には今回、日本電産シンポが開発した、「超偏平アクチュエータ」が輝いた。受賞者代表挨拶に立った同社 取締役 専務執行役員の井上 仁氏は、「今回の賞を励みとして、新鮮な考えを持って皆様とコラボをしながら新しい製品を世に出し、社会に貢献していきたい」と語った。
日本の自動車や電機、機械などの各種製品は、世界中で高い評価を得ているが、日本のものづくりの強さの源泉は、縁の下の力持ち的存在である優れた部品・部材に支えられている。同賞は、完成品の一部として優れた機能を発揮しながらも、一般には知られていない部品・部材を広く世の中に知らしめ、その功績を称えて、部品・製品の認知度を高め、ものづくりの現場に携わる層を鼓舞する目的で設けられたもの。
主な受賞部品は以下のとおり。
“超”モノづくり部品大賞
日本電産シンポ「超偏平アクチュエータ」…同社が展開してきた波動歯車減速機「FLEXWAVE」に日本電産本体が強みとするブラシレスDC(直流)モーターを組み合わせた。モーター部分が従来品のように外へ出っ張らずに業界最薄の薄型化を実現したことが特徴。ラインアップは、厚さ40mm・定格容量90Wの小型品と、同45mm・200Wの大型品の2種類。どちらも同容量の従来品と比べ、厚さは1/4以下、重さは1/2以下となった。減速機のバックラッシュ(歯車のがた)が低いため、起動時の衝撃も抑制できることなどが評価された。パワーアシストスーツの関節や電動車いすの車輪などへ導入を見込んでいる。
電気・電子部品賞
ジェイテクト「TOYOCUP-Plus」…生産ラインの様々な設備をつなげることのできるボード型プログラマブルロジックコントローラー(PLC)。工作機械やロボットのメーカーを問わず接続し、稼働情報を収集できることが評価された。現状は生産設備ごとのネットワークが統一されていないため、生産ライン全体をつなげるのは難しい。古い生産設備では、I/O(入出力)接続のみで、ネットワークに対応していないものもある。同品はI/O機能を持ち、古い設備にも接続できる。通常は既存設備に接続できても、制御回路の変更が必要で、制御回路の調査や改造設計が必要になるが、同品では制御回路の変更が最低限で済む。
自動車部品賞
大成化研「CNT潤滑油『ナノコロオイル』」…潤滑油にカーボンナノチューブ(CNT)を配合したオイルで、不溶のCNTを独自の製法で純水に均一分散し配合した。界面活性剤などを使っていないため、化学変化を起こさない。市販の潤滑油だけでなく、あらゆる素材に配合できる。産業機械などの駆動部に同品を使用すれば、金属のミクロレベルの凹部に、粒子が3nm~15nmと極小のCNTが入り込む。CNT同士が転がって液体ベアリングの役目を果たして、潤滑性が向上する。摩擦抵抗が少なく、一般の潤滑油に比べて約40%も摩擦係数が低くなることなどが評価された。
NTN「自動車用ULTAGE円すいころ軸受」…軸受定格寿命を同社従来品に比べ3.8以上延ばし、負荷容量を3割高めた円すいころ軸受。ころ形状最適化と内部設計を見直し、独自の特殊熱処理加工を施すことで、高い荷重負荷能力や低トルク、長寿命といった顧客ニーズに対応した。ころの転がり面の両端部につける微小な曲面形状(クラウニング形状)を最適化。荷重のかかった状態での、ころと内外輪の接触面圧が均一となり、負荷能力増で寿命を延ばした。軸受寿命に関係して部材内部の亀裂要因にもなる、せん断応力は最小化している。また、内輪のつば面と、ころ端面の形状なども工夫して、軸受の許容回転速度を約10%向上したことなどが評価された。
奨励賞
日本精工「NSK高負荷駆動用ボールねじ『S-HTFシリーズ』」…独自の熱処理法「TF処理を」適用し、同社従来品と比べ寿命を2.2倍に延ばし、耐荷重を最大1.2倍に向上したボールねじ。ボールねじを搭載する電動射出成形機やサーボプレス機などの生産性向上に寄与する。同シリーズは軸受用鋼材を新たに採用。鉄鋼設備向け軸受などで用いているTF処理をボールねじの製造に世界で初めて転用し、長寿命と耐荷重性を両立したことなどが評価された。