リガクは、ナノスケール(0.1nm~100nm)の構造評価に適した小角X線散乱測定装置「NANOPIXTM」の販売を開始した。同装置は、小角分解能(Qmin~0.02nm-1)を有し、サブナノスケールの構造情報を得られる広角回折・散乱測定もカバーするマルチスケールの構造に対応した測定装置。
先端材料は、ナノスケールの微細構造が高度に制御された材料が多い。小角X線散乱(SAXS:Small Angle X-ray Scattering)は、ナノスケールの構造やその不均質性を電子密度の不均一領界により生じる散漫散乱を測定することによって調べる手法。研究開発から品質管理まで、広い分野で必要とされるナノスケールの構造評価に適している。対象となる物質は幅広く、固体、液体、液晶、ゲルなどの規則・不規則構造の分析に加え、ナノ粒子の粒子径分布計測、タンパク質分子の立体構造解析や離合・集散評価、炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの先端材料研究などに使用できる。
同装置は、高輝度・高出力ポイントフォーカス光源、高性能多層膜ミラー「OptiSAXS」、高性能・低散乱ピンホール・スリット「ClearPinhole」を組み合わせて構成した小角X線散乱測定専用装置。X線検出器には高性能2次元半導体検出器を標準搭載し、系に異方性のある材料からの回折・散乱情報も余さず測定することができる。また、より広い角度範囲の測定が必要な場合には2モジュール構成により大面積化されたHyPix-6000(オプション)も搭載可能。原子レベルの構造(0.2nm~1nmのミクロ構造)から分子集合体の構造(1nm~100nmのマクロ構造)まで幅広く測定できるように、試料と検出器の距離が容易に変更可能となっている。
また、機能性材料の機能・構造相関研究において温度、湿度などの環境制御は必要不可欠な温度、湿度の制御、DSC(示差走査熱量測定)との同時測定や外部機器との同期などが可能で、様々な環境下での構造評価を行える。