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日立化成、転写形透明導電フィルムの基本特許網構築

 日立化成は、タッチパネル用転写形透明導電フィルム「Transparent Conductive Transfer Film」について、ワールドワイドでの基本特許網を構築したと発表した。

 近年、スマートフォンやタブレットPCの市場拡大を背景に、それらの材料であるタッチパネル向け透明導電フィルムの需要が急拡大している。現在のタッチパネルの透明導電膜形成には、主にガラス基板にITO(酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide))を成膜する方法が一般的に用いられている。ガラス基板は、割れやすい、重いといった課題があるため、解決方法としてポリカーボネート(ポリカ)フィルムや、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の軽量かつフレキシブル基板への代替が進んでいる。しかし、ITO被膜は曲げに弱いほか、画面サイズの大型化に伴い配線抵抗値を増加させてしまう問題があった。また、ITOを成膜する際には蒸着やスパッタリングなどの真空プロセスが必須のため、設備投資費用や加工費の低減が難しい等の問題もあり、各種フレキシブル基板に対応し、生産効率の向上に貢献する新たな透明導電材料の開発が求められていた。

 このようなニーズに対して、同社は、高いフレキシブル性を持ち、ガラスだけでなく、ポリカフィルム、PETフィルムなどのプラスチック基板や立体的な形状を持つさまざまな基材に転写・接着でき、最終製品の仕様に応じて、表面抵抗値の調整が可能であり、ITO並みの導電性と高透明性の両立を実現する転写形透明導電フィルムを開発し、2014年6月から上市している。

 同品はロール状の製品形態で提供するため、ロール・ツー・ロールプロセスにも適合するほか、ITO成膜で必須であった真空プロセスを一切必要とせず、基板に転写・接着し、露光とアルカリ現像によりファインパターンを形成できることから、顧客の加工プロセスを短縮し、生産効率の向上にも寄与する。

 同社は、この転写形透明導電フィルムの基本特許となる発明を2008年に日本で特許出願し、2009年には同出願に基づく外国出願を世界各国・地域に出願し、特許を取得しており、2015年2月基本特許網を構築した。このほか、2013年6月には関連技術について台湾、中国で実用新案も出願し、登録となっている。転写形透明導電フィルムに関連する国内外での特許出願を今後も継続して行い、各国において順次権利化を推進し、ワールドワイドでの特許網のさらなる強化を図る。

転写形透明導電フィルムの使用例転写形透明導電フィルムの使用例