三菱重工業は4月1日付で、研究開発体制を改編すると発表した。単一の研究所組織である「総合研究所」を新設し、5ヵ所の既存研究所を統合することが柱となる。事業部門がドメイン・SBU制に移行したのに連動して、組織横断的運営に改めることで、技術のシナジーや人材育成を強化し、業務や設備運用の効率化を図るのが狙い。
総合研究所は、技術統括本部副本部長を総合研究所長(兼務)とし、製品開発支援に責任を持つ副所長を3人配する構成とする。発足時の人員は約1440人。研究部門として技術分野ごとに再編した「材料研究部」、「製造研究部」、「化学研究部」、「強度・構造研究部」、「振動研究部」、「機械研究部」、「流体研究部」、「燃焼研究部」、「伝熱研究部」および「電気・応用物理研究部」の10部を新設する。研究所の経理・安全・人事・設備などの管理業務については、昨年10月に発足済みの研究管理部で一括対応していく。
総合研究所長は神戸市に所在し全体を統括。ドメインの主要3拠点である名古屋市、兵庫県高砂市、長崎市には関連する各研究部が所管する「研究室」を集中配置することで、人や設備の無駄や重複を排除するとともに、製品開発や新技術開発、重要プロジェクトの緊急支援などで、よりタイムリーかつ効率的に対応できる体制とする。また、広島市、広島県三原市、相模原市、横浜市の4ヵ所には研究室や「チーム」といった技術支援組織を置き、製品事業部門支援を強化する。
同社の研究開発組織は、各事業所の製品・技術開発を目的に、1964年の3重工合併で同社が発足して以来、横浜、名古屋、高砂、広島、長崎の各地区に研究所を配置する体制を敷いてきた。事業部門が今事業年度からドメイン・SBU制に完全移行するなど、全社の組織運営が変化するなか、事業所単位の研究開発体制では、充分な人材育成ができない、設備が分散して効率的な管理運営が難しい、などの状況が生じていた。