メインコンテンツに移動
mstkouenkai

 

NTN、風力発電装置用状態監視システムの無線式計測ユニット

NTN「CMS用無線式計測ユニット」 NTNは、風力発電装置用状態監視システム(CMS:Condition Monitoring System)「Wind Doctor」のデータ収集装置に無線接続し、計測したデータの伝送が可能な、風力発電装置用CMS「CMS用無線式計測ユニット」を開発した。

 風力発電装置は、発電効率向上のため大型化や洋上への設置が進められている。一方、大型・洋上化に伴い、装置故障などの発見が遅れると各部位への損傷が拡大し、メンテナンス費用の増大や長期の発電停止を引き起こす可能性がある。このため、同社では軸受や歯車など機械要素部品の状態変化を早期かつ正確に捉え、異常や変調箇所を特定するCMS「Wind Doctor」を開発してきた。

 風力発電装置用CMSは、通常、測定用センサを測定対象である軸受近くのハウジングなどの静止体に固定し、データ収集装置へ直接ケーブルで接続する。しかし、メインロータ(回転部)と発電機が直結する同期型風力発電装置は、主軸受の外輪が回転する構造で、軽量・コンパクトな設計であるため、計測に適した場所にセンサを設置できないことが多く、主軸受の正確な状態監視が難しい場合があった。また、主軸受の内輪が回転するタイプでも、既設風力発電装置への設置工事において、ケーブルの取り回しが煩雑な場合もあった。

 今回開発した同品は、データ収集装置への無線通信を実現し、世界で初めて外輪回転型風力発電装置のメインロータにCMSの測定用センサを設置することが可能となった。これにより、回転体へのセンサ設置だけでなく、ケーブルの取り回しが困難な箇所の状態監視も可能になる。また、同品は「Wind Doctor」と同様に、電気機械器具の保護等級であるJIS C 0929のIP65に準拠した高水準な防塵・防水性能を有しており、洋上をはじめ過酷な環境でも利用可能だという。

 今後、同社はデータ収集装置や測定用センサさらにソフトウェアも含めてCMS関連装置を拡充することで、トータルシステムとしての進化と技術サービスの向上を図る。それにより、従来では難しかった様々な部位の振動や温度などの各種計測を可能にするとともに、異常の早期発見、原因の推定、損傷拡大防止など風力発電設備の利用率向上に寄与する。また、同品は風力発電装置だけでなく、回転体へのセンサ設置やデータ伝送の無線化など類似の課題をもつ各種設備機械や試験機、検査装置への適用も提案していく。

システム構成(同期型風車:軸受外輪及びロータ回転例)システム構成(同期型風車:軸受外輪及びロータ回転例)