日本精工は、運転者と車両との一体感の実現とハンドル操作の疲労を軽減することを可能にした「電動パワーステアリング(EPS)用低フリクション減速機」を開発した。
同品は、直進時などにおけるハンドル微修正の操作をスムーズにし、また、交差点などでの大きなハンドル操作後のハンドル戻りを軽快にする。トライボロジー技術を駆使した最適油膜形成による潤滑向上と、粘性抵抗を増加させない添加剤技術を採用したグリースを新開発した。この結果、減速機の歯面間に安定した油膜を形成し、減速機のフリクションを17%低減した。
近年、環境対応のため自動車の燃費改善や環境負荷物質の排出量削減が急務となっている。EPSは、ハンドルを切っていない直進状態においては、モータは駆動しておらず電力を消費していないため、油圧式パワーステアリングに対し燃費が改善する。加えて、EPSは走行速度や路面などの様々な走行状況に応じて、モータをきめ細やかに電子制御することによって、運転者に安全・快適な操舵フィーリングが可能で、結果、EPSの採用が拡大している。
この快適な操舵フィーリングは、ハンドルを切り始めたときのスムーズな車の動きと、ハンドルのスムーズな戻りが重要。この動きに寄与しているのはEPSの摩擦で、中でもアシスト用減速機が大きな割合を占めている。減速機の摩擦力を低減させる低フリクショングリースを開発することによって、運転者のハンドル操作の負担を軽減し、さらなる操舵フィーリング向上を可能にした。