三菱重工業は2015年4月1日付で、鋳造品の生産体制を再編すると発表した。具体的には、同社グループの鋳造工場を神戸造船所 二見工場に集約し、広島製作所と長崎造船所(三菱日立パワーシステムズ 長崎工場)の鋳造工場は閉鎖する。鋳造に関わる機能を一つの工場に集約することで、内製コストを低減し、操業変動に耐え得る固締まりの生産体制を構築するのが狙い。また、生産技術を一元化することで、鋳造品開発力の強化と国内外ビジネスパートナー活用による総合的な競争力の向上を図る。
鋳造については、2014年4月1日付で機械・設備システムドメインに「鋳鍛センター」を設置したが、昨今、同社グループ事業のグローバル競争激化に伴い、鋳造品の低価格化が進んでいる。こうした状況に対応して耐為替変動性を向上するため、国内外ビジネスパートナーの活用を推進することとしたことから、鋳造品の内製による生産量は減少傾向となってきた。
鋳造技術は、同社グループ全体のものづくりや製品開発に必要不可欠なコア技術であり、その維持・継承には力を注ぐ方針。半面、内製量が減少するなかで、現状の3工場運営体制を持続することが困難な状況になってきた。このため、中長期の技能伝承・技術開発、QCD(品質・コスト・納期の管理)強化、技術者育成および海外ビジネスパートナーを指導するための人材の育成を行える体制を構築するため、今回の再編を決めたもの。
この再編により、鋳鍛センターは火力、コンプレッサ、原子力、製鉄機械などに関する鋳造品の内製ならびに国内外パートナーの育成指導、全社鋳造製品に対する技術支援など、同社グループの鋳造に関する取りまとめを担うこととなる。