トヨタ自動車は安全運転支援に向けた自動運転技術に関して開発の進捗状況を公表した。今回公表した主な高度運転支援システムと要素技術は以下の通り。
高度運転支援システム
【オートメイテッド・ハイウェイ・ドライビング・アシスト(AHDA)】
今回新規に公表したAHDAは、昨年公表したものとは異なり、車車間通信技術は搭載していないが、米国の実際の道路環境にあわせて改良されており、時速70マイル(約110キロ)まで対応可能。このAHDAは、主に以下の三つの技術により、高速道路で安全に車線・車間を維持しながら走行できるよう、ドライバーの運転を支援する。
- ダイナミック・レーダー・クルーズ・コントロール(DRCC)
フロントグリルに搭載された77ギガヘルツのミリ波レーダーで先行車を検知し、一定の車速および先行車との距離を確保する。
- レーン・トレース・コントロール(LTC)
前方カメラや77ギガヘルツのミリ波レーダーからのデータを用いて白線や前方車両を検知、最適な走行ラインを算出し、自動的にステアリングや加減速を適切に調整。ドライバーが車線内で、走行ラインをより簡単かつ安全に維持できるよう、支援を行う。
- ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)
高度運転支援システムにおいてもドライバーが常に運転の主役であるべきとの考えのもと、手動運転と自動運転の切り替えがスムーズに行えるよう、専用のHMIを採用。
なお、今回公表のAHDAに基づいた技術を、2010年代半ばに米国で商品化する予定。
要素技術
【車載用イメージングレーザーレーダー(SPAD LIDAR)】
豊田中央研究所と共同開発したSPAD LIDARを新たに公開。SPAD LIDARは、性能向上に加え、大幅な小型化、低コスト化を図り、コンパクトに車載することができる。
また、従来のミリ波レーダーとステレオカメラ両方の機能を一つで備え、障害物の位置や形状を高精度で検知できるとともに、昼夜問わず、外光にあわせて感度を調節するアクティブセンサーを搭載している。
なお、昨年1月に米国ネバダ州で開催された「2013 International Consumer Electronics Show」(CES)にて、研究中の自動運転技術の実験車を公開したが、この実験車では、より大型のLIDARをルーフ上に搭載していた。
【3Dヘッドアップ・ディスプレイ(3D-HUD)】
米国のToyota Info Technology Center, U.S.A., Inc.を中心に、人と車両の連携向上を目指し、開発を進めている革新的なインターフェイス。車両の状態、標識や交通状況などの情報を、フロントガラス越しの道路上に重なるように3D表示することができる。クルマとドライバーが「チームメイト」となるキーデバイスとして研究している。