NTNは、軸受内部設計の最適化により、世界最高水準の高負荷容量と高速回転性能を実現した「ULTAGE(アルテージ)大形円すいころ軸受」を開発した。同社では、軸受外径約270mm以上の大形シリーズから順にラインナップを揃え、グローバルに販売を行う。
鉄鋼や風力発電などの各種プラント設備や、建設機械や鉱山機械などの一般産業機械に用いられる軸受は、運転時の振動や衝撃を含む過酷な環境で使用されるため、より高い荷重負荷能力が求められる。さらに、増速機や減速機の高速軸には、高出力・高効率化のための高速回転性能も求められるという。
同品は、従来の円すいころ軸受に対して内部設計を最適化、特に転動体であるころのクラウニング形状(ころの径をミクロン単位で端部に向かって徐々に小さくする軸方向の母線形状)の見直しにより、高い荷重が作用しても転動体と軌道輪の接触面圧を均一に形成することを可能とした。これにより、従来品と比べ1.3倍以上の高負荷容量を実現、軸受定格寿命は3倍以上、耐荷重性能は2倍以上に向上した。また、ころと内輪のすべり接触部も、回転トルクの増大や温度上昇を抑制する最適形状とすることにより、許容回転速度が約10%向上し、高負荷容量と高速回転性能を実現した。
さらに同品では、軸受鋼に特殊耐熱処理を採用することで、使用時における軸受の経年寸法変化率を軸受鋼を用いた従来品と比べ1/10以下(はだ焼き鋼比:1/4以下)に抑制し、長期間の使用においても高性能を維持可能とした。