ダイキン工業は、耐高電圧性・高容量化に優れたリチウムイオン電池用のフッ素系正極用変性PVdFバインダー「VW700シリーズ」を開発した。2014年7月より順次出荷、販売を開始する。
フッ素系バインダーは、リチウムイオン電池の正極活物質の接着剤として「PVdF」が使用されている。今回開発した商品を使用することで、これまで実現できなかったリチウムイオン電池の高容量化(4.4V以上の高電圧時での使用)を可能にし、電池の寿命も従来より10%改善した。
リチウムイオン電池の高容量化を行うには、電極の高密度化、NMC(ニッケルマンガンコバルト酸化物)などのニッケル系正極材の使用による高電圧化が必要となる。通常のバインダー材料では、4.4V以上の環境で高容量化を図る場合、電極が固くなり割れが生じたり劣化することがあるという。
また、ニッケル系正極材を使えば電極作製用の塗料がゲル化を起こすことで電極作成が困難になってしまう等の課題があった。同シリーズは、分子構造に耐酸化性の優れたユニットを導入するなど、同社の得意とするポリマー変性技術を応用することで、①高電圧でもバインダーが劣化しにくく、電池が長寿命化②バインダーの柔軟性が高く、高密度化しても固化、割れが発生しにくい③ニッケル系正極材使用時にもゲル化せず、生産性が向上、を実現し従来品の課題を解決することが可能になった。