大同特殊鋼は、型鍛造事業の戦略投資として知多型鍛造工場(愛知県東海市、知多工場内)に新たに開発した熱間高速横型鍛造機11基を新設する。新鍛造機は2015年初旬から営業運転を開始し、主に自動車向け部品を生産する。
従来は、棒鋼素材を鍛造機内で熱間切断していたが、今回は、事前に冷間切断し鍛造するため、切断時に発生する素材の変形が減り、鍛造後の製品寸法精度が向上し、従来対比ニアネットシェイプ(加工時間を減らすため、あらかじめ最終製品の形状に近づけること)の製品が製造可能になる。合わせて製品表面疵が軽微となり、表面疵規格の厳しい製品にも対応できる。また、鍛造機本体の剛性が高いため、従来の熱間高速横型鍛造機と比較して最小厚みが3分の2となり、より薄い製品の製造が可能になる。
今回の新しい生産技術の導入により、段替時間の短縮とその後の調整鍛造をなくし、生産性が向上するという。また、調整鍛造がなくなることにより歩留も向上する。
現在同社では、国内および米国拠点で合わせて15基の熱間高速横型鍛造機を保有し、自動車部品・軸受部品を中心に鍛造製品を供給している。今回設置する新鍛造機は、従来の熱間高速横型鍛造機と縦型鍛造機の強みを合わせ持つことにより、製品品質の向上とコスト競争力強化が図れる。