三菱重工業は、エレクトロニクスデバイスの大手メーカーであるデルタ電子(台達電子工業股份有限公司)に、リチウムイオン二次電池の製造設備などの事業資産を売却することで合意した。これにより、三菱重工業はリチウムイオン二次電池を使用した蓄電システム製品事業への経営資源の移行を推進していく。
デルタ電子は、台湾を創業本拠地とする企業グループの中核企業で、電源装置やディスプレイ製品などの多種多様な電子製品を手掛けて、世界各地に約200の生産・販売・研究開発拠点を持つ世界的なメーカー。
蓄電システム製品は、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの導入拡大に伴う電力系統安定化や、省エネルギーのための電力需給調整用のコアデバイスとして、今後の市場拡大が期待されている。
同社が開発したリチウムイオン二次電池は、軽量・コンパクトで高い信頼性を実現し、コンテナ型電力貯蔵システムや電気バスなどの蓄電システム製品に搭載されて、多くの実績を積み重ねてきた。しかし、需要拡大が期待される蓄電システムの市場環境にいち早く対応するため、リチウムイオン二次電池の量産事業については、量産によるコスト低減技術に定評のあるデルタ電子に売却し、今後は蓄電システム製品の普及に注力していく。
同社はこれを機に、デルタ電子と連携し、蓄電システム製品分野を含むリチウムイオン二次電池事業の発展に引き続き取り組んでいくとともに、定置用大容量蓄電システム(ESS)や電気バスなどの蓄電システム製品の普及を図る。